【メルマガバックナンバー】「クラシックを聴かない人を演奏会に呼ぶ」より前にすること

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こんにちは!

Wind Band Press編集長の梅本です。

編集長コラムでは、最近気になることや、経験上何か役立ちそうなことなんかを、ちょこちょこと書いていきます。

2022年はWind Band Pressのメルマガで言いたいことを言ってしまっていることが多かったので、バックナンバーをブログで公開していましたが、2023年以降はWind Band Press本サイトの記事で公開していきます。

今日は2022/11/11のメルマガバックナンバーです。


さて今日はポッキーの日ですがそれとは全く関係なく「『クラシックを聴かない人を演奏会に呼ぶ』より前にすること」というお話。

ちょくちょくSNSなんかで見かけるのですが、

「凄く良いプロ吹奏楽団の演奏会だったのに空席が目立ち残念」

「プロの演奏会に人を呼ぶにはどうしらいいか?」

というような流れでの問題提起や考察を見ることがあります。

考えることは悪いことではないし、僕もそれを見て「どうしたらいいだろうね」と考えたり、記事やメルマガ、ブログでその考えを出力することもあります。

またつい最近ですが、「若い人はクラシック音楽に興味がない」という統計調査レポートを見て、「クラシックを聴かない人を演奏会に呼ぶにはどうしたらいいか?」と考える人がちらほらいるのを見かけました。

これも考えることは悪いことではないですし、解決策があるならそれに越したことはありません。

僕もちょっと気にしている部分ではあります。

ただ、こういった集客を考える際に、「まず誰を呼ぶべきか、誰に声をかけるべきか」という優先順位について考えてみませんかというお話を、ちょっと僕なりにまとめてみます。

「演奏会に呼びたい人(主催やファン)」と、「演奏会に来ない人」の間に距離(溝)があるから、思ったように人が集まらないわけですが、その距離も人によってそれぞれです。

一番遠くにいる「クラシックに興味がない人」よりも、一番近くにいる「クラシック愛好家」のことを真っ先に考えるべきだと思うのです。

大きく分けて下記のような順で、番号が下に行くほど「演奏会に行く」という行動からの距離が離れていくように思います。

今回は例として吹奏楽で考えてみます。

0. 吹奏楽を含めてクラシックの演奏会に行くのが趣味な人
(距離ほぼゼロ)

1. 吹奏楽部/団に所属していて演奏活動をしている人(吹奏楽現役)
(距離が近い客層)

2. 吹奏楽部/団に所属していないけど
クラシック音楽の演奏活動をしている人(主に管楽器・打楽器)
(管楽器・打楽器現役)
(来てもらえる可能性は高い客層)

3. 演奏活動はしていないし演奏会もほとんど行かないけど
吹奏楽のCDやサブスクは聴いている人(リスナー層)
(来てもらえる可能性はやや高い客層)

4. 吹奏楽部/団に所属していないけど
クラシック音楽の演奏活動をしている人(主に管弦楽や金管バンドなど)
(吹奏楽に近い現役、近くもなく遠くもない)

5. クラシック音楽の演奏活動はしていないし、
吹奏楽のCDやサブスクも聴かないけど、
吹奏楽に興味がないわけではない人
(やや遠い)

6. クラシック音楽の活動はしていないけど
管楽器・打楽器などを演奏している人(ジャズなど)
(吹奏楽にはさほど興味がない層なので遠い)

7. クラシック音楽に興味がないわけではないが
吹奏楽に興味がない人
(相当遠い)

8. クラシック音楽そのものに興味がない人
(絶望的に遠い)

僕の主観で大別するとだいたいこんな感じになります。

あくまでも主観なので人によって感じる順序は異なるかもしれません。

で、例えば「若年層はクラシックを聴かない」という調査結果を見て、「クラシックを聴かない若者をクラシックの演奏会に呼ぼう」という話は、港でオジサン達と混ざって釣り糸を垂らして「さあクジラを釣るぞ」って言うくらい無理筋な話で、まずはその港に来ている魚を取るのが現実的な考え方かな、と思います。

つまり「演奏会に人が来ないから集客したい」「演奏会に来ない人を呼びたい」と考えた時に、釣り糸を垂らす(宣伝する)相手はまず先に「1」の距離の人ということになります。

(0の人は詳細な情報を適切な場所に出しておけばひとまずご自身で行く行かないを決めてくれそう)

上記では吹奏楽を例にしましたが、これが「フルート」でも「トランペット」でも構いません。好きに置き換えてください。

どんな編成の演奏会の場合も、いきなり8のクジラを狙ったところでその漁場にクジラはいないのですから、1から始めようという話です。

吹奏楽であれば、「演奏会を行うホールに行ける距離にある地域」つまり集中的に宣伝活動を行う地域を絞れているか?その地域の吹奏楽部や吹奏楽団への案内は充分に行っているか?ということをまず検証することから始めなければいけません。

僕の体験談になりますが、大学時代、毎年夏に「演奏旅行」という、東京から地方に遠征するイベントをやっていました。僕が4年生のときは松本、名古屋、浜松の3公演をやりました。

僕は企画部長という演奏会当日までの段取りをする仕事をしていましたが、広報部も兼ねていたので、広報部長と一緒に静岡県に浜松公演の宣伝に行ったんですね。

そのとき、地域の学校なんかを回るんですが、部活動や吹奏楽団によっては、時間を頂いて、その日の活動終わりのミーティング時間にお邪魔させていただいて、部員・団員の皆様の前で宣伝をさせていただいていました。

そういう一番近い客層への広報をどれだけ本気でやれるか、だと思うんですよね、まずは。

それをやりきった後に2,3・・・とだんだん距離の遠い層にアプローチしていけば良いのかなと思います。

SNSなんかではファン層の人が「どうしたらクラシックに客を呼べるだろうか」と考えているようですが、こればかりは主催者が考えて実行するしかありませんから、ファンとしてはやきもきするところではあります。

ファン層が出来ることもあるとは思うのですが、主催にそこまでのやる気がなければどうしようもないかなと思います。

自分の趣味仲間が増えるのは楽しいことも多いですし、「推し」について知ってほしいという気持ちもわかります。

ファンとして出来ることとしては、4-5あたりの人を3(リスナー層)に引っ張り込むことくらいでしょうか。

それが最も現実的かなと思います。

「若年層はクラシックを聴かない、どうしよう」の前に、若年層でもクラシックを聴く人もいるし、演奏する人(距離1-4)もいるわけなので、その人達のボリュームを増やしていくことであったり、その人達に演奏会体験を共有する方法を考えるのが最優先かなと思います。

ファン層がどんなことを出来るか、についてはまた考えがまとまったら書いてみようと思います。

今の時代に限らずですが、人気を出す、であったり新規の顧客を獲得するための基本はクチコミですね。

そのあたりの話はこちらの記事で書いています。

▼【編集長コラム】
SNSでモノを買う時代に僕らはどうやって「演奏会」を売ればいいのか?
https://windbandpress.net/14298

ほかに似たような話はこのあたりかな・・・

▼【編集長コラム】
広報を頑張りたいアナタに捧げるアイディア出しのヒント
https://windbandpress.net/16084

▼【編集長コラム】
投稿は手段、目的は集客!媒体に演奏会情報を投稿する場合の事前チェック項目10点+α
https://windbandpress.net/15005

▼【編集長コラム】
情報の届け方:演奏会情報を媒体に出す時のポイント
https://windbandpress.net/14804

▼「次回こそは楽しみにしています」という励ましの声、お客様あってのコンサート。
公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団、埼玉会館「ランチタイム・コンサート」再開インタビュー
https://windbandpress.net/15711

▼【編集長が最近思うこと】
どうやって吹奏楽の演奏人口を増やすか、という話
https://windbandpress.net/18210

自分たちの客層について分解して考えてみると、誰にどのようにアプローチすべきかわかってくるのではないかな、というようなお話でした。

今週のメルマガはこんなところで。

ではまた次回!


以上、メルマガバックナンバーでした。

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