【編集長コラム】SNSでモノを買う時代に僕らはどうやって「演奏会」を売ればいいのか?






 

こんにちは!

Wind Band Press編集長の梅本です。

この編集長コラムでは、最近気になることや、経験上何か役立ちそうなことなんかを、ちょこちょこと書いていきます。


今日は最近読んだ本「僕らはSNSでモノを買う」がとても良かったのでその内容を元に(つっても本の内容書くわけじゃないから僕の解釈ですが)吹奏楽や室内楽のコンサートの宣伝にどう活かすかという視点で少し書いてみます。

もっと詳しい話はリンク貼っておくので「僕らはSNSでモノを買う」を買って下さい。これは別にウェブマーケターとかじゃなくてSNSやってる人は皆読んでおいて損はない(得しかない)本です。

最近は購買に至るきっかけがSNSであることが多いです。時間を買う場合も同じですね。この記事を読んでいるあなたはSNS経由でこの記事にたどり着いたのではないでしょうか。直接SNSでこの記事のリンクを見たわけじゃないけど検索経由でWind Band Pressにたどり着いたかもしれません。なぜ検索をしようと思ったのか、と考えると検索の前にSNSでの情報があったのではないでしょうか。とかく最近こんな感じです。

そしてこの記事を読んだあとに最後には「僕らはSNSでモノを買う」を買っているかも知れない。直接的な購入ではなくても購入にはつながるわけです。

広告といえば昔はテレビや新聞でしたが、いまやインターネット広告も多いですよね。それこそSNSを使った広告も多いです。ですが、広告はどんどん届きにくくなると言われています。もちろん使いたければ併用すればいいと思うのですが、アドブロックなどもありますし、リスティング広告やFacebookの広告などにしてもランクの変動などがあると思ったように表示されないという難点があります。広告以外の部分でSNS運用を軽視するわけにはいかない時代になっているわけですね。

行動を起こしてもらうきっかけとしてかなり強い引きがあるのが「UGC」と呼ばれるものです。「User Generated Content」の略で、ユーザーによって作られたコンテンツ、という意味ですね。

広告よりも購買につながる情報って何か知ってますか?

家族や知人、友人のオススメです。近い人からのクチコミですね。

SNSではだいたいの場合、家族や知人、友人とつながっていますよね。彼ら(または自分自身)がたとえばどこかのモナカでも食べて「これメッチャおいしいぞ」って投稿する。これがUGCです。ECサイトの商品レビューとかもUGCですけど、SNSでのUGCのほうが強いです。Amazonレビューより強い。それを見て、家族や知人、友人、またはあなたは、そのモナカが気になります。気になったら次は検索などをして最終的にどこかで買う。それがオンラインじゃなくてもいいわけです。どこかで買う。SNSでモノを買うっていうのはそういうことです(ざっくりね)。

この本には「ULSSAS(ウルサス)」という行動のモデルが出てきます。これについては本を読んでもらえばいいのですが、要はUGCから始まって購買を経て最後は拡散につながるというモデルです。

では演奏会の宣伝、チケットの購入、購入後の拡散とそれによる集客効果について考えていきましょう。

まず演奏会前には皆さん宣伝をしますね。SNSに投稿します。その投稿を見て、誰かが「こんな演奏会があるんだ」みたいな投稿をしてくれればUGCが生まれたことになります。まず最初はこのUGCの数と質。他人を巻き込むようなUGCが生まれるような情報発信を最初にしておく必要があります。ULSSASのUです。このあとに「Like(いいね)」があります。

このあと、興味がある人はSNSでサーチします(ULSSASの1個めのS)。そのときに出てくるのが、バンドや奏者個人のアカウントの過去の投稿だったりプロフィールだったり、他者からの評判ですね。ここで興味が失せるようなコンテンツを自分たちが生み出していると、離脱が起きます。やっぱいいや、こんなやつらの演奏聴かねえわ、ってことですね。ですのでプロフィールはしっかり興味を持ってもらえるようになるべく特徴がわかるように掲載しておく必要がありますし、特にtTwitterでは過去のツイートもチェックしておくと良いでしょう。You Tubeにも演奏動画を投稿しておくと良いでしょう(You TubeはJASRACと包括契約をしているので自分たちで制作したコンテンツをアップロードしても特に問題はなさそうですが、業者さんに頼んで録画してもらった場合は映像の権利が誰にあるかチェックしてください。基本的に映像の著作権はそれを最初に記録した人や会社にあります)。他者からの評判については日頃の行い次第かな・・・

SNSサーチも見事にクリアして、さらに興味を持ってもらえるようになったら、その人はGoogleなどで検索するかもしれません(ULSSASの2個めのS:検索はしないで直接リンクをたどるかもしれない)。検索結果にはあなた(やバンド)のウェブサイトが出てきますね。この段階でのサーチはより詳細を知りたい、買いたい、という段階でのサーチなので、ウェブサイトでチケットを買える(申し込める)ようにしておく、またはチケットがどこで買えるのかわかりやすく表示しておくと良いでしょう。もちろんウェブサイトの中身(コンテンツ)も大事です。スマホでの検索が多いでしょうからスマホ対応は必須。演奏会の詳細(一般的なレベルではもう集客を促進するには足りなくなっているので演目全曲と終演予定時間も書きましょう)、興味を持ってもらえるような仕掛け(コンテンツ)をどこにどう配置するか、それも熟慮する必要があります。

この2段階の検索をしたうちの何人かが、チケットを買ってくれます。これが行動です(アクション:ULSSASのA)。これをゴールにするバンドや人が多いかも知れませんが、本当のゴールはどこでしょうか。よくSNSへの投稿に書かれているのは「たくさんの人に来てほしいです」「皆さんお越しください」って感じです。たくさん来なきゃダメなんですよね。なので買った人が「買ったよ!」と投稿する。これによって新たなUGCが生まれるわけです。これがULSSASの最後のS、拡散(スプレッド)です。例えば見るからに美味しそうなご飯を外で食べた時、写真をとってアップしたりしませんか。ここで必要なことは、行動によって「投稿したくなる」素材が提供されることです。演奏会は当日まで何も生まれないように思えますが、チケットのデザインがカッコイイ、サンクスメールが動画で届いた(しかもシェア可能になってる)、とかインパクトがあればあるほど新たなUGCが生まれることになります。

これを回すことによって「たくさんの」お客様を呼ぶことが出来るようになります。

「じゃあどんどんSNSに投稿したらいいのかな」ちょっと待ちんさい、いーや違いますね。

ところどころ書きましたが大事なのはあなたやバンドが用意したコンテンツです。飲食店であれば料理そのものだったり外装や内装だったりかもしれないですけれど。演奏会は事前に体験することは不可能なうえに追体験することも不可能(再現性が極めて低い)なので、事前情報の段階で
・UGCが生まれやすいコンテンツをSNSに投稿する
・SNSでサーチされたときに興味を持ってもらえるようなコンテンツを準備しておく
・ウェブサイトを訪れた際に購買に結びつくような詳細なコンテンツを準備しておく
・購買後に新たなUGCが生まれやすいようなコンテンツを準備しておく
・もちろん本番の演奏は最上のコンテンツとなるように仕上げる

つーまーりー!コンテンツの質なんですよね結局ね・・・どれだけハイクオリティなコンテンツを用意出来るか。それがあって初めて「SNS運用しよう」になるんです。「SNS運用」が目的でSNSを運用するわけではないってことです。Twitterの140文字でも立派なコンテンツです。この質です。

なんとなくイメージ湧いたでしょうか。実際にどんなコンテンツを準備するかはバンドや奏者の皆さん次第です。逆に言えば、有名な団体や有名な奏者じゃなくても下剋上を起こすことが出来る、それがSNSを使った宣伝の仕方の強みです。

「僕らはSNSでモノを買う」は、日頃からSNSマーケティングのチェックをしている方ならどこかで聞いたことのある話も多いですが、会話形式で進んでいくので読みやすい、理解しやすい。ビジネス書ですけどビジネス書の初心者でも読めるし分かる。その点が特にオススメポイントなので、バンドの広報の方だけでなく、SNSで何か宣伝を発信している方にはまずこれを抑えて置いて欲しいですね。サルでも分かる話なのでこれを皆さんで読んでクラシック音楽の集客レベルを上げていって欲しいなと思います。

ちなみに著者の飯高さんとはお知り合いでもないですし回し者でもなんでもないです。


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