2回の公演中止を挟み、2020年8月27日に、長年の人気の催しである「ランチタイム・コンサート」を再開させる埼玉会館。再開に至るまでの経緯や感染対策防止案の内容のほか、ランチタイム・コンサートそのものについて、主催者である公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団 事業部、土佐林美紗子さんにお話を伺いました。
―42・43回のランチタイム・コンサートは中止となり、今回の第44回から再開となったわけですが、再開を決定するに至った理由や背景などについてお伺いできますでしょうか。
土佐林:ランチタイム・コンサートは毎回ほぼ満席になる当財団の公演の中でも人気のコンサート・シリーズで、お客様からも再開を要望する声を多くいただいており、当財団としても自粛解除後できるだけ早くお客様に安心して生演奏を楽しめる機会をお届けしたいと考えておりました。
その中で、国や県から示された新型コロナウイルス対策の各種ガイドラインやロードマップの内容を考慮して当財団としてのガイドラインを策定し、これに基づき7月より順次対策を講じて実施できる公演から再開する方針を決定いたしました。今回の公演は出演者がサクソフォンとピアノの2名のみという小規模な公演であり、舞台上の三密も回避することが十分にできることから、開催に向けて準備をすすめています。
―第44回のランチタイム・コンサートは新型コロナウイルスの感染拡大防止対策をしたうえで行うとされていますが、具体的な対策についてお伺いできますでしょうか。
具体的な対策は以下の通りです。
[1] 客席における社会的距離の確保…販売する席数を収容可能人数の2分の1以下に減らしました。具体的には最前列の席は販売を停止することに加えて、2列目以降の席は前後左右の席を空けて販売する市松模様型の席配置としています。
[2] お客様に対するお願いごとの周知・広報…【発熱症状等のある方は来場をお控えいただきたいこと】【マスク着用等、来場時にお願いしたいこと】などをチラシにまとめて記載し、広報するよう努めています。※詳細はチラシの裏面をご覧ください。
[3] 公演当日の受付周りでの対応…入場時には検温・手指消毒へご協力をいただく予定です。またチケットの確認・プログラムの配布など、各種の対応についてはお客様とスタッフとの接触を極力減らす予定で、お客様はもちろん関係者も含めて安心して公演を実施できるよう準備を進めています。
[4]開場時間の変更…通常ランチタイム・コンサートは11:30に開場しているところを、開演1時間前の11:10に変更することで、入場時のお客様の混雑・集中を緩和したいと考えています。
―第44回だけでなく、これまで、またこれからのランチタイム・コンサートについて、出演者の選定について、コンセプトも含めて、どのような企画の作り方をされているか、教えて頂けますでしょうか。
土佐林:ランチタイム・コンサートは今年で13年目を迎えた埼玉会館の看板企画で、平日の昼間に開催する出演者のトーク込みのショート・プログラムでお楽しみいただく気軽なコンサートです。これまであまり埼玉会館に足を運んだことのない方も含め、幅広い層のお客様に音楽をお届けするコンサート・シリーズとして企画しています。出演者の選定にあたっては、バリエーション豊かな音楽をお届けすることを第一に、コンサートのたびに取っている来場者アンケートも参考にしています。
参考までに直近2年間の公演の編成は以下のようになっています。
2019年度 ピアノ・ソロ(第39回)、フルート+弦楽のアンサンブル(第40回)、ハンドベル・アンサンブル(第41回)、管弦楽ミックスのアンサンブル(第42回/中止公演)
2020年度 ソプラノ&テノール(第43回/中止公演)、サクソフォン(第44回)、ホルン・アンサンブル(第45回)、打楽器+ピアノのアンサンブル(第46回)、管弦楽ミックスのアンサンブル(第47回/詳細調整中)
過去にはマリンバ・ソロやバンドネオン、邦楽アンサンブルや合唱などの公演も開催してきています。いずれの編成でも、プログラムはクラシックの作品をベースにしながら親しみやすい曲織り込み、クラシック音楽の入門コンサートとしてもお楽しみいただけるような工夫をしています。
photo:加藤英弘
―全国の音楽ホールも非常に難しい状況が続いているかと思われます。貴財団で把握されている、コロナ災禍における音楽ホールの現状と、貴財団の音楽ホールに関して今後どのような施策を検討されているか、お伺いできますでしょうか。
土佐林:埼玉県からの要請や緊急事態宣言を受けて、今年3月から当財団主催の音楽公演だけでも8公演を中止または延期いたしました。公演再開1回目は、7/5(日)に彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホールの「大塚直哉レクチャー・コンサート」で、新型コロナウイルス感染症 感染拡大防止対策を実施して開催し、無事公演を終了することができました。公演内容、コロナ対策ともに、お客様からも概ね高い評価をいただき、次回主催公演にあたるランチタイム・コンサートに向けて、具体的なオペレーションにも目処がたってきています。
感染拡大防止対策については、基本的に全国公立文化施設協会やクラシック音楽公演運営推進協議会等で策定している【新型コロナウイルス感染症 感染拡大防止のためのガイドライン】などを参考にしながら、当劇場の規模感や公演内容などを踏まえて検討をすすめています。
―最後に、演奏会を楽しみにされている愛好家の方々に向けて、メッセージを頂けますでしょうか。
土佐林:このランチタイム・コンサートも、第42・43回は埼玉県からの要請や緊急事態宣言を受けて中止しており、チケットを購入いただき楽しみにお待ちいただいたお客様には大変なご迷惑をおかけしました。そうした中でも、チケットの払い戻しのために会館に足を運んでくださったお客様から「次回こそは楽しみにしています」などのあたたかいお言葉をたくさんいただけたことがとても印象的でした。そうした言葉は本当に励みになり、改めてお客様あってのコンサートであることを強く感じました。お客様への感謝の意味でも、今回の第44回では安心安全に公演をお楽しみいただけるよう準備していこうと、思いを新たにしたところです。みなさまのご来場を心よりお待ち申し上げております。
インタビュー:梅本周平(Wind Band Press)
以上、公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団、土佐林さんへのインタビューでした。
なかなか演奏会を開催するかどうか、結論が出にくい時期ではあると思います。判断の際にこのインタビュー記事がなにか参考になればいいなと思います。
■埼玉会館ランチタイム・コンサート 第44 回 上野耕平(サクソフォン)
日時:2020年8月27日(木)12:10 開演(終演予定13:00)
会場:埼玉会館 大ホール
入場料:全席指定 1,000 円
チケット購入方法:
SAFチケットセンター
・電話 0570-064-939(彩の国さいたま芸術劇場休館日を除く10:00~19:00)
※一部IP電話からは、ご利用いただけません
・SAFオンラインチケット
出演:上野耕平(サクソフォン)、高橋優介(ピアノ)
プログラム:
ベダール:ファンタジー
J. S. バッハ(ウィルヘルミ編曲):G線上のアリア
ミヨー:スカラムーシュ
高橋優介:ロマンスとロンド ほか
主催:公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団
お問い合わせ:SAFチケットセンター 0570-064-939(彩の国さいたま芸術劇場休館日を除く10:00~19:00)
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