Wind Band Pressではこれまで多くの海外の情報を記事にしてきましたが、実際のところ、海外各国の吹奏楽事情についてはあまりよく知られていないのが現状です。
そこで世界各国で現地に在住し吹奏楽を楽しんでいる方、また指導などで関わっている方などから各国の吹奏楽事情について伺ってみようというシリーズ、それが「気になる!世界の吹奏楽事情」です。
今回は、上海ブラスバンド日本支部の籾山友紀様に中国の吹奏楽事情についてご回答・ご寄稿いただきました。
それでは、どうぞ!
■市民吹奏楽団の数やスクールバンドの数およびそれぞれの規模について
市民吹奏楽団の数は分かりません。
スクールバンドについては、上海では各名門校(中学校、高校、大学)に吹奏楽団があるようです。具体的な数は不明で、編成として3-25人規模、単独楽器バンドや総合バンドがあるそうです。
■学校教育と吹奏楽の関係について
学校は知識習得以外に人を育てる場所ということで、自信、興味、協調、成長、継続性を目的にした楽団の部活があります。
■どんな作品が多く演奏されているのかについて
自国の作品を中心に、それ以外の歴史的名曲、各国の名曲も演奏します。
曲に関しては吹奏楽自体の歴史が浅いという事もあり、自国の作曲家が作曲した吹奏楽曲はまだまだ少ない模様で、多くは欧米もしくは日本の吹奏楽曲を演奏している事が多いと思われます。
■座奏の吹奏楽以外に盛んな演奏形態はあるのかどうかについて
民族楽器演奏バンド、イギリス式の金管アンサンブル(ブラスバンド)、上海人の吹奏楽団、台湾人の吹奏楽団があるようです。
■その他
・中華杯という全国的に展開しているコンクールがあり、2017年現在で11回開催されています。シンフォニック形式とマーチング形式の両方で行われ、日本同様に小学~一般バンドの各カテゴリー毎にコンクールが実施されている様です。
・上海では2007年より毎年上海国際管楽芸術祭という吹奏楽の祭典が開催されており、中国全国からだけでなく世界各国よりバンドを招聘して数日に渡って盛大に開催され、その模様はマスコミでも報道されており、この一点だけでも、現在中国では国、各地方団体がかなり力を入れて吹奏楽を推進しようとしていることが見て取れます。(ちなみに2017年度は中国全土及び世界各地から134団体8800余人が参加された模様)
・中国の吹奏楽協会にあたるであろう中国管楽学会は2004年に組織されたばかりで、奇しくも上海ブラスバンドと同年に組織されており、現在は文化レベルの底上げのひとつとして吹奏楽が注目されている模様です。各教育単位(小学から大学)での注目は言うまでもなく、一般バンドに至っても民間だけでなく各行政単位主体で推進に取り組んでいると思われます。故に各行政単位や公民館等の所属や協力の元運営される一般バンドが少なくありません。
そんな中上海ブラスバンドは中国に於ける吹奏楽の発展と共に地道な活動を行なっており、その結果、現在では上海の吹奏楽業界において一定の知名度を有するようになったと自負しております。
上海ブラスバンドについても情報を頂いておりますので、掲載させて頂きます。
上海ブラスバンドについて
上海ブラスバンドは中国上海在住の日本人によるアマチュア吹奏楽団です。2004年3月に4名でスタートし、まもなく14周年を迎えます。上海で働く日本人とその家族・留学生・日本語が話せる中国人など、現在約60名で活動しています。2008年には楽団内でビッグバンドも結成しジャズ演奏にも取り組んでいます。
団としての演奏活動としては、自主演奏会、日本人幼稚園・日本人学校・インターナショナルスクールでの演奏や、イベントでの演奏などを通して、上海在住の日本人だけでなく、中国の方々にも演奏を楽しんで頂いています。近年は中国の子供吹奏楽団「常州青少年管楽交響楽団」との共演で、音楽を通じた国際交流にも携わっています。
創団当初は、練習場所や打楽器の確保が大変でしたが、今ではそれらも充実し、中学生から60代まで年齢も経験も様々な音楽愛好家が集まり吹奏楽を楽しんでいます。
上海音楽学院ホールで開催する演奏会は、HPで配布する入場整理券が毎回即日完売する程の人気となっています。昨年6月に開催した第25回記念演奏会は、上海東方芸術中心という2千人収容の大ホールにて開催、大きな拍手と歓声を頂きました。次回第27回演奏会は6月17日(日)13時半開演、上海音楽学院ホールにて開催致します。
海外暮らしの日本人による楽団ということで、団員の入れ替わりが非常に激しいため、常に団員は募集しております。これから上海に引っ越していらっしゃる方は、ぜひ楽器を持参して頂き練習にいらして下さい。現地での楽器購入のご相談にものります。上海で楽しい吹奏楽ライフが待っています!
上海ブラスバンドHP
http://shanghaibrass.org/
問合せメールアドレス
info@shanghaibrass.org
上海ブラスバンド日本支部について
上海ブラスバンド日本支部は、上海ブラスバンドから帰国した団員による集まりです。上海ブラスのほとんどの人が数年で帰国、または中国の他の都市や他の国へと引っ越して行きます。最初は日本に帰国した団員で集まり飲み会などをしていましたが、また皆で演奏したいという想いが募り、日本でも合奏を楽しむようになりました。関東への帰国者が一番多いので、定期的な合奏は東京のみで行っていますが、東海・関西・北陸でも合宿練習を行っています。2016年には東京で日本支部第一回演奏会を開催。全国・世界各地に散らばる上海ブラスOBOG団員約60名が東京に集い、演奏会を開催しました。懐かしい顔もいれば、初めましての人もいますが、同じ上海ブラスで演奏したことのある者同士すぐに打ち解け、昔からの仲間のように意気投合し、まるで上海で演奏しているかのような演奏会となりました。今年も第3回演奏会を2月17日(土)16時開演で、東京都江東区文化センターにて開催します。(入場無料) 東京から上海に想いを馳せ、熱い演奏を奏でますので、ぜひ聴きにいらして下さい。
上記をふまえて、さらにもう少し、情報を頂いております。
アジアに広がる日本人吹奏楽団の輪
2004年に上海ブラスバンドが出来て以来、この14年の間に、上海ブラスからアジア各地に転勤になったOB団員が、北京BjBj(Beijing-Japan Brass&Jazz)、香港深センブラスバンド、バンコクブラスバンド、シンガポール吹奏楽団WENS、という日本人吹奏楽団を立ち上げて来ました。そして、バンコクブラスバンドのノウハウを元にホーチミンシティブラスバンドが設立され、バンコクやシンガポールのOB団員が転勤先でジャカルタ・ジャパン吹奏楽団、ヤンゴン吹奏楽団を立ち上げました。こうして、今ではアジア各国に日本人吹奏楽団ができ、日本人が吹奏楽を楽しめるようになりました。慣れない異国での生活で、音楽を楽しめる環境があるということは、とても素晴らしいことです。
昨年は、北京で上海ブラスと北京BjBjのホルンアンサンブル演奏会が開催され、シンガポールではバンコク・ヤンゴン・ジャカルタ・シンガポール・ホーチミンの日本人吹奏楽団員が集まり「熱帯ブラス」という名の合同演奏会と、トロンボーンアンサンブル演奏会が開催されました。そして、日本では上海から帰国した上海ブラスバンドOBが演奏会を開くようになりました。これから各国楽団との交流や日本での演奏会開催は、益々増えて行くでしょうし、更に新たな国に日本人吹奏楽団ができることでしょう。アジアに広がる日本人吹奏楽団の今後が楽しみです。
籾山様、ありがとうございました!
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[…] 以前Wind Band Pressの記事「気になる!世界の吹奏楽事情~中国・上海編~」にご協力いただいた上海ブラスバンド日本支部の演奏会が開催されます。 […]