今日のレビューは「オリュンポスの神々:オスカル・ナバルロ吹奏楽作品集(El Olimpo de Los Dioses: Wind Band Music by Oscar Navarro)」。
2015年にWWMより発売されたCDですが、サンプルをご提供いただいたので聴かせていただきました。
オスカル・ナバルロ(Oscar Navarro)は1981年生まれのスペインの作曲家で、おそらく日本ではまだそんなに知られていないかもしれませんが(もちろん知っている人は知っている)、世界は広い!ということをあらためて感じます。
こんなに素晴らしい才能をもった作曲家がまだまだ世界中にたくさんいらっしゃるんでしょうね。(もちろん日本もです)
このCD、演奏はベルギー・ギィデ交響吹奏楽団(The Royal Symphonic band of the Belgian Guides)ということもあり、作品の魅力を十分に発揮していることと思いますが、なんといっても目玉はCDタイトルにもなっている交響組曲「オリュンポスの神々」(El Olimpo de Los Dioses / The Gods’ Olympus)。
元々は管弦楽のために書かれた作品ですが、アンドレース・アルヴァレス(Andres Alvarez)とともに吹奏楽版が作られました。ド派手な展開と美しい旋律が見事な作品で、管弦楽、吹奏楽、それぞれに味わいがあります。
全10曲からなる大作で演奏する機会もあまりなさそうですが、コンサートでなかなか聴けなさそうな作品だからこそCDでしっかり何度も聴きたいですね。
10曲のうち、最も演奏時間が長いのが「ポセイドン」で約7分。それ以外は約5分以内で収まっていて、美しいメロディーと唸るサウンドが特徴的。映画音楽的なドラマティックな要素(ナバルロは映画音楽も書いています)と、師匠であり友人でもあるフェレール・フェラン(Ferrer Ferran)的な要素が合わさっているような感じですね。
まさに「吹奏楽で聴くサウンドトラック」のような仕上がりで、あっという間に40分が過ぎてしまいます。
その他の収録作品も、「その他」で終わらせてしまうにはもったいない素晴らしい作品。
オリュンポスのインパクトが強すぎるので仕方がないのですが、単独で聴けば「おおっ」と思うはずです。
「クラリネットとオーケストラのための第二協奏曲(Second Concerto for Clarinet and Orchestra)」もトランスクリプションですがこちらはナバルロ自身の手によるトランスクリプションです。
これがまた素晴らしい。クラリネットが好きかどうかは関係なく、聴いておきたい作品ですね。
ギィデの見事な演奏と相まって、楽しい時間を過ごせるCDです。
レビュー:梅本周平(Wind Band Press)
CDの詳細は以下の通り。
品番:500.199 WWM
メーカー:World Wind Music
演奏:ベルギー・ギィデ交響吹奏楽団(The Royal Symphonic Band of the Belgian Guides)
指揮者:イフ・セーヘルス(Yves Segers)
収録内容:
EL OLIMPO DE LOS DIOSES (The Gods’ Olympus) – Symphonic suite (43’30)
(Transcription for wind band by Andres Alvarez & Oscar Navarro)
1. I. Hermes – The messenger of the Gods across all frontiers (4’26)
2. II. Artemis – The Goddess of nature and wild animals (4’18)
3. III. Hades – The God of the Death (5’19)
4. IV. Poseidon – The God of the Sea and the Earthquakes (7’17)
5. V. Demeter – The Goddess of Agriculture (2’01)
6. VI. Hephaestus – The God of fire and forging (2’45)
7. VII. Apollo – The God of beauty, music and perfection (2’09)
8. VIII. Aphrodite – The Goddess of sexuality, lust and desire (5’15)
9. IX. Ares and Athena – The God and Goddess of War (4’10)
10. X. Zeus and Hera – The God and the Goddess of Gods (5’44)
11. SECOND CONCERTO FOR CLARINET AND ORCHESTRA (21’12)
(Transcription for wind band by the composer)
Soloist: David Van Maele
12. THE FLY – Invention for wind band (4’45)
13. ANDRES CONTRABANDISTA – Pasodoble (4’47)
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