どうやって「良い組織」「良いチーム」を作るか?「チームビルディング」の考えを吹奏楽部・吹奏楽団に応用してみる話について伺いました

Download PDF

この記事を読むのに必要な時間は約 19 分 10 秒です。

最近は企業の組織力アップなどに導入・活用されている「チームビルディング」。読んで字のごとく「チーム」を「ビルド」するためのプログラムですが、この「チームビルディング」の考えを、吹奏楽部・吹奏楽団の運営にも活かせるのではないか?活かすとしたらどうやって?そんなことを考えました。

そこで今回は日本のチームビルディングのプロフェッショナル、「株式会社チームビルディングジャパン」のスタッフでもあり、自身もアマチュアのチューバ奏者で、Wind Band Pressにも少しコラムを投稿していただいている、菅谷宏一さんに、チームビルディングについての説明と、それを吹奏楽部の活動や一般の吹奏楽団でどういう風に応用できるのか、使えるか使えないのか、などについてお話を伺いました。

株式会社チームビルディングジャパン」はチームビルディングの専門会社として、研修プログラムの企画制作運営、チームビルディング・コンサルティング、セミナーの企画運営などを行っている、日本でも珍しい会社です。(「チームビルディング」で検索するとこちらの会社のページが沢山出てくるかと思います)

「部活の人間関係を良くしたい」「良い組織ってなんだろう?」そんなことに悩んでいる方、「雰囲気の良いチームを作りたいけどどうしたら良いかわからない」そんな疑問をお持ちの方に向けて、「チームビルディングってそもそも何なのか」「どうやって吹奏楽に応用するのか」というところまで、根掘り葉掘り聞いてみました。悩める皆さん、必読です。

株式会社チームビルディングジャパン様のサイトを見ながらインタビューを行っていますので、ぜひサイトも合わせてご覧ください。


■そもそもチームビルディングとは何か?

―本日はお忙しいところありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。まずはチームビルディングとは何かという、言葉の意味からお伺いしたいと思います。御社のサイトには「仲間が思いを一つにして、一つのゴールに向かって進んでゆける組織づくり」「仲間が主体的に自分らしさ、多様性を発揮しつつ、相互に関わりながら一丸となって共通のゴールを達成しようとチャレンジする、そうした組織をつくるための取り組み全般」と記載がありますが、つまりこれはどういうことなんでしょうか。

菅谷:チームビルディングというのは、色々記載がありますが、シンプルに言うと「組織づくり」のことですね。とはいっても組織によってカラーや特徴が違います。楽団も同じですね。個人としての特徴を発揮できるようになると、チームとしても特色を発揮できるようになると考えています。

―組織づくりの話なんですね。「自分らしさや多様性を発揮する」というのは、自発的にそれぞれが考えて実践して、それを交えることで組織をどんどん上のレベルに上げていく、というようなイメージでしょうか。

菅谷:その通りだと思います。難しいところとしては、「組織がどうなったらハッピーかというのは組織によって違う」ところがあります。一概に「これが理想の組織だ」、というのはないんです。「ゴールに向かって進んでゆける」という記載がありますが、これもゴールをどこに置くかによります。楽団によって、コンクールで金賞を取ればハッピーな場合もあるし、同じメンバーで楽しく活動できればハッピーな場合もあるでしょうし。

―ゴールを設定した上でそれを達成するための組織を作るということでしょうか。

菅谷:そうですね、ゴールを設定して共有していくということ自体も組織作りのうえですごく大事なことです。最近チームビルディングジャパンでは、チームビルディングには二つの軸があると説明しています。1つは心理的安全性です。ちょっと言いにくいことでも言えるような安全な場である、ということです。もう1つは目標共有度です。ゴールや目標を共有できているかどうか。共有して納得して、一丸となって向かっていこうという意識がある状態になっているかどうかですね。

―そこがスタートラインですかね。

菅谷:ですね。


■具体的に何をすることなのか?

チームビルディングとは具体的にどういうことをするのか、ということについてのページを拝見しました。一つは体験の共有。社員旅行とかですね。共通体験を持つというようなこと。それによって「チームとしての関係性の基盤を作ることにつながるため」と書いてあります。ですが、会社でもそうですが、すでにそこになんらかのチームはあるわけですよね。まずこの「体験の共有」について、部活動自体の体験の共有の他に何か行った方が良い、ということになるのでしょうか。

菅谷:僕がずっと考えているのは「振り返り」ですね。専門用語で「リフレクション」と言います。ホームページには色々書いてありますが、軸は二つなんですよね。「アクティビティ」と「リフレクション」です。

アクティビティは、「体験」ですね。チームの活動。ホームページに書いてあるような、イベントや社員旅行など、チームでグループでみんなで一緒に何かをやるっていう共通体験を指します。

そしてもう一つのリフレクションですね、その共通体験を振り返って話をするということです。体験を共有すること自体がチームの一体感を作る、関係性の基盤を築くのに有効ではあります。チームでゲームやアクティビティに取り組むと、例えばよく喋る上司は職場同様よく喋るとか、普段職場で行っているコミュニケーション、リーダーシップ、フォロワーシップのクセが出ます。リフレクションの大事なところは、その時に見えた傾向を振り返って「あの時僕らどうだったかな」と振り返る時間から学びを得られることです。

―吹奏楽部や団の場合は合奏以外にそういうイベント性のあることをやった方が良いのでしょうか。

菅谷:やれたら良いと思いますが、無理にやる必要はないと思います。一番大事なのは合奏だと思います。合奏そのものがチーム体験ですから。色々なやり方はあると思いますが、リフレクション、振り返りが大事ですね。

―吹奏楽部や団の場合はすでにチーム活動をしてるわけですからそれ以上増やす必要もないということですね。

菅谷:実際、それ以外に部や団の活動を増やすのは大変ですよね。バーベキューでもなんでも、工夫してやるのも良いとは思いますけれど、それよりも活動の核である合奏を振り返るリフレクションの機会を取ることのほうが重要だと思います。

―仮に部活動の合奏などのイベント以外に何かアクティビティを行うとしたら、屋外の方がよろしいのでしょうか?ホームページを見ると、身体を動かすとか、そういうイメージがあります。例えば合宿しなきゃいけないのかとか、全員参加じゃないのかいけないのか、とか、そのあたりはいかがでしょうか。

菅谷:合宿じゃなくても良いですし、屋外でなくても良いと思います。というのも、今回の場合(吹奏楽部や吹奏楽団の活動の場合)は自分たちでチームビルディングを行う場合を想定するからですね。弊社ではチームビルディングのプロとして、主に企業から依頼を受けて運営しています。プロが運営する場合は、屋外など普段とは違った環境でアクティビティを行うことをお勧めしていますが、吹奏楽団の場合はまずは普段の活動の中で出来ることから取り組んでいただければと思います。プロがいないとケガにつながる可能性もありますからね。

―続いて、ホームページの項目では三つ目に「継続的な組織づくり」という項目があります。そのうちの一つ目、先ほどお話にも出てきましたが「定期的にチームミーティングを持ち、日常のコミュニケーションを振り返り改善する」というのはリフレクションを行うということですね。「日常のコミュニケーションを振り返る」というのはどういうことなのか、教えていただけますか。

菅谷:まず二つ、振り返りの大きな観点があると思います。1つは吹奏楽なので演奏についてですね。つまり企業の研修例で言えば自分たちがやっている仕事に対しての振り返り。「今日の練習どうだった?」みたいなところですね。そういう振り返りと、「その場で起きていたコミュニケーションの振り返り」はまた別の話になります。職場のコミュニケーション、みたいな感じですよね。

振り返りのやり方は色々ですけれど、4~5人ぐらいの単位のイメージです。全員参加ではないですね。僕が今持ってるイメージはパート単位ですね。クラリネットはちょっと大変かもしれないですけど(笑)。パート単位、あとはパートリーダー会議とか。人数が多くなると、プロのファシリテーター(※)がいないと難しいと思います。小さな単位で話すのが基本ですね。
(※ファシリテーターについては後述)

―ありがとうございます。続いて二つ目に「オフサイトミーティングなどでミッション・ビジョン、部署の目標を新しく見直す」とありますが、「オフサイトミーティング」とは何でしょうか。

菅谷:オフなので反対にオンがあるのですが、オンサイトはいつも活動してる場所ですね。オフサイトは例えば会社とかそういうところを離れて自然の中でとか郊外の会議スペースで、とか、いつもと場所を変えて、気分を変えて、新たな気持ちで、というような意味です。

―例えば部活の帰りにファミレスに行くのは「オフサイト」になりますか。

菅谷:「半オフサイト」くらいですね。ホームページに書いてあるオフサイトミーティングは片道一時間くらいかかる山の中くらいのイメージです。でもファミレスでも少しオフサイト効果があると思います。企業の例だと、よく「喫煙所で話が決まる」なんて話があります。「飲みにケーション」なんてのもそうですね。普段の活動から離れた場所であれば良いのかもしれませんね。吹奏楽部だったら離れたところで合宿を行うこともあるかと思いますが、オフサイトのイメージとしてはそういう場所ですね。

―「ミッション(注:使命)・ビジョン(注:目指していること)、部署の目標を新しく見直す」ということも記載がありますが、目標を新しく見直すというのは具体的にはどのようなことでしょう。

菅谷:新しく見直すというのはいくつかあります。一つは「文言が変わる」ということ。例えば「全国金賞」目標だったのが「県大会金賞」に目標が変わる。というのが一つあります。

もう一つは抽象的な目的。「一音入魂」「一人一人が音楽家になる」とか。これは文言は変わらないと思うんですけどそれに対する自分たちの認識を共有して自分たちで意識を新たにするということです。

よくあるのは、文言をテーマとして立てて、緩い対話の場を作るんですね。例えば「一人一人が音楽家になる」ってどういうことだろうとか、それを実行するとどんなことが起こるんだろうとか。普段あまり意識しない言葉、額に入れられているだけの理念のような言葉を、一人一人がどう捉えているかというのを共有します。意識していない人もいらっしゃると思いますが、実際に話してみる、ということを行います。

文言は変わらないけど意識が変わる。これは先ほどのミーティングの定義で言えば「思いを一つにする」ということにつながります。

―この項目の最後には「チームがより良い関係性になるような人事制度を構築する」という記載があります。人事制度は会社の話だと思いますが、チームビルディングの観点からの「より良い関係性」とはなんでしょうか。

菅谷:私の中で答えはあるのですが、ふわっとしているので伝わらないんじゃないかなと思っています(笑)。でも回答してみます(笑)。

繰り返しになるかもしれませんが、まずこれは前提となるのですが、一つ一つのチームの理想の姿は違う、ということですね。「こういう風になりたいなあ」というのは、チーム(職場、楽団)によって違います。持ち味が違う。だからそのチームが目指す理想形にどんどん近づいていくことが「より良い関係性」です。

そしてその基盤となるものが二つあって、先ほど申し上げました「心理的安全性」、気兼ねなく話し合える関係性の構築。もう一つは「目標共有度」を高めること。お互いが目標に対して納得していてお互いがどんな風に考えているかとことも含めて目標を共有している状態。この「心理的安全性」「目標共有度」という二つの軸を高めていくことです。

ここまでをまとめると、継続的なチームづくり、というところで言えば、具体的にはチームミーティングとなります。パートごとやパートリーダーの少人数ミーティングですね。やり方は色々と工夫できるかと思います。オフサイトミーティングは、例えば代替わりなど体制が変わったときに、目標について話し合う。そんなイメージです。出来ればオフサイトはいつもとはちょっと違う環境で行うと良いです。合宿の時に話す時間を取ってみるのも良いですね。


■チームとは何か?チームビルディングにはどのような効果があるのか?

―次に、「チームビルディングにはどのような効果があるのか」。「チームとは」のページに、チームの定義として「仲間が想いをひとつにして一つのゴールに向かって進んでいける組織です」と書いてありますね。例えば、吹奏楽コンクールの演奏メンバーは「チーム」と言えるのか、みたいなところで。コンクールと一言で言っても事情はそれぞれだと思いますし。

菅谷:そうですね、ちょっと図を見てみましょう。

「集団凝集性(ぎょうしゅうせい)」とありますね。先ほど「目標共有度」と言いましたけど、集団凝集性は社会心理学の用語らしいです。

左下がただの集団。人が集まっている状態です。集団凝集性というのは、チームとしてどれだけガッチリまとまっているか、ということですね。

左上の集団凝集性が高く目標共有度が低い状態は成果は出やすいですが、集団思考というか、皆で誤った思考をしてしまう可能性もあります。内向きな集団ですね。

右側の心理的安全性が高いほど、お互いに言いづらいことも言いやすい状況です。家族的な感じですね。

チームというのは、この集団凝集性と心理的安全性が同時に高い状態にある、ということです(図の右上)。お互いに言いたいことを言えて、安心してその場にいられる関係性があり、同時にガッチリ目標にも結束して向かって行けるという。矛盾するようにも見えますが、これは同時に両立出来ます。

―同じくホームページに記載されていることについてもう少しお話を伺ってみようかと思います。まず「簡単になしえない明確なゴールを共有している」とありますが、この「明確なゴール」を指し示す人がまず初めに必要なのではないか、という気もします。誰かがゴールを決めないといけないのかな、とも思うのですが、どうやって明確なゴールを決めたら良いのか、という点についてはいかがでしょうか。

菅谷:決めるかどうかのポイントで言うと、どっちもありだと思います。最初は明確なゴールを示すリーダーがいる場合が多いと思います。新しい顧問の先生が来て「ゴールは全国金賞だ!」というのもあると思います。一方で、皆で話し合って納得できる目標を作ることも出来ます。

どちらがいいとかではなくて、大事なのはゴールに向かっての納得度ですね。「やるぞ!」という気持ちになっていることです。

弊社サイトの「手法と理論」のページに「人が夢中になる4つの条件」という項目があるのですが、簡単すぎず、難しすぎず、自分の能力の少し上であること、何を為すのか、ゴールが明確であること、ゴールに近づくための手段を自分でコントロールできること、うまく行っているのかどうか常に把握することができること。これが一つゴールの決め方として参考になるかと思います。

―ちなみにこれも御社のページに記載があって、分からない言葉があったんですが、チームの条件として「それぞれに何としても成し遂げようという強いコミットメントがある」の「コミットメント」って何なんでしょう。

菅谷:ざっくりいうと「約束」ということですね。某CMでも「結果にコミット」という形で使われていますけれど。誰かやってくれるようなことじゃなくて、それぞれが成し遂げたいと思っていて、ちゃんと約束してるというか。

―自分と約束する、ということでしょうか。

菅谷:そうですね。たまにチームの問題で起きるのが、「フリーライダー」という人の存在です。「ただ乗り」ですね。つまり他の人は頑張ってるけど、他の人が頑張った成果にただで乗っかっているだけで、自分はあまり頑張ってない、みたいな人がいると、あまりよろしくないですね。吹奏楽でも難しい問題だとは思いますけれど。


■で、どんなバンドに向いてるの?何から始めればいいの?

―色々とお話を伺ってきましたが、これまでお話をいただいたチームビルディングの考えを、学校の部活動としての吹奏楽部、そして一般の楽団、それぞれに応用できそうだ、というのは分かってきたのですが、チームビルディングという手法、考えが、どういう悩みを持ったバンドに特に向いていると思われますか。

菅谷:ひらたくいうとチームビルディングで行っているのは主に人間関係です。ソフト面、と言ったりもしますけれど。演奏するにおいて音楽の技術や知識の面での問題や苦労もあると思いますが、それとは別に人間関係で悩みがあるのであれば、チームビルディングに取り組んでみるのがいいと思います。今風なワードで言えば、「コミュニケーション」とか「リーダーシップ」とかですね。幹部的な方であればマネジメントとか。例えば部長がうまく部をまとめられない、とか。

―人間関係に悩みがあり、チームビルディングをやってみようと思った場合、まずとっかかりとして、どんなことから始めたらいいですか?それぞれのシチュエーションがあるとは思いますが、おそらく「言いたいことを言えない環境にある」というのが多いと思うんです。心理的な壁があるというか。緊張かもしれないし不安かもしれないですけど、「安心」とは遠い状況ですよね。例えば「心理的に安全な状況を作りたい」と考えた場合に、どんなことをしたら良いでしょうか。

菅谷:一番簡単なのはさきほどお話しした「パート内リフレクション(振り返り)」ですね。どういうグループ分けてやるかは色々ありますが、今イメージできるのはパート単位です。合奏が終わった後に。その辺りが始めやすいかなと思います。4-5人くらいから気軽に始められますし。


■補足:コーチング、ファシリテーションについて

―この記事をきっかけにチームビルディングに興味を持ったとしても、プロにお願いするお金はないかもしれないですし、自分たちで御社のサイトを見たりして調べていくかもしれません。調べていく中で、「コーチング」であったり「ファシリテーション」という言葉に当たると思います。僕も調べてもこの言葉についてよくわからなかったのですが、チームビルディングにおいてはどういう意味で使われているのか、少し教えて頂けますでしょうか。

菅谷:まずコーチングについては、今巷で使われている意味としては、「その人自身が持っている可能性を引き出す」というような意味です。その人の主体性を大事にしながら育てるということですね。ファシリテーションは、コーチングが人を育てることだとすると、ファシリテーションは集団を育てるということです。グループの成長を支援するのがファシリテーションです。

―「チームビルディングっていう取り組みをやってみよう」と思った方が「じゃあリフレクションからやってみよう」となったときに、そのリフレクション、振り返りをするにも、その中に一人ファシリテーターが必要だったりするんでしょうか。

菅谷:ファシリテーションも色々な方が色々な意味で使っています、がもともとの意味は「促す」ということ。専門的な知識や技能が求められる部分はありますが、まずは自分たちで始めることが可能です。例えばパート単位で4-5人で振り返りをする場合、最初はパートリーダーから始めて、持ち回り制でやるのも良いかなと思います。一人特別な人を作ってしまうと、他のメンバーの主体性が下がってしまいます。企業においても、進行役、ファシリテーターは持ち周りで行うことをお勧めしていますね。それと大事なのは「テーマ」ですね。今日は何について話し合うのか。それを提示する人はいた方が良いと思います。テーマが具体的な方がやりやすいでしょうし。


■取り組む際の注意点

―あともう少しまだ僕にもわからないところがあります。チームビルディングに取り組んでいく過程で、強制的に「チームビルディングしようぜ」という風に「参加させられている感」が出てきてしまう人もいるんじゃないかと思います。そういう方へのケアはどうすればよろしいと思いますか。「振り返りとかめんどくさいよ」とかそういう人がいる場合ですね。

菅谷:いくつかありますが、まず「いきなり全体で始めない」というところですね。まずは有志でやってみる。有志が楽しそうだと、他のメンバーも「やってみようかな」と思ってくれるかもしれません。

もう一つは、「リアルなチーム」を考えると、参加に消極的な人もいるっていうのがチームのリアルな部分ですよね。それも含めて、そういう人もチーム内の要因として含めて、チームをどうするか、良い楽団にするか、ということを考えていくと良いかと思います。

あと全体に導入する場合は、最初に言い出した人とか、幹部であるとか顧問の先生であるとか、そういう方が、「なぜこれを導入するのか」という点を詰めておく必要があります。他のメンバーにとって納得しやすいような理由を伝えるのが大事ですね。


■実際に取り組む時間をどう確保するのか?

―ホームページには具体的な方法も記載されていますが、チームビルディングって「理想」について語っている話だと思うんです。言うのは簡単なんだけど、実行にあたって障害となるものが様々あると思います。部活動に関して言えば、週休二日制の話も出てきていますし、時間がなくなっていくという流れになっていますよね。一般の楽団はなおさら時間がない。そう考えると障害となる一番の要員は「時間」だと思うのですが、その障害を取り除くにはどうしたら良いのか、という点についてはどのようにお考えになられますか。

菅谷:その場合で言うと、事例として、「時間がないからやる」という面もあります。ちょっと意味わからないかもしれませんけど(笑)。

企業でも、残業しづらくなっていますし、若者の文化として飲み会には行かないとか、社員旅行にも行かないとか、そういう傾向があります。つまり非公式な機会が減っている。だからこそ、研修として就業時間内でチームビルディングの時間を取っている、というのが企業の事例ですね。

部活の場合も近いと思います。皆さん忙しいですよね。部活はもちろん、塾にも行かなきゃいけないとか、習い事があるとか。ファミレスで話す時間すら取れない。となると部活動の正規の時間内でチームビルディングを行うほうが、結果として時間効率も良いかと思います。日々ちょっとずつで良いので続けることが大事ですね。

―楽器のメンテナンスだけでなくチームのメンテナンスの時間も取ってみるという感じですかね。有志の輪が広がってからの話だと思いますけど。

菅谷:まさにその通りです!
いくつか導入パターンはあるかなと思います。有志から始めるパターンと合奏にちょっと組み込むパターン。

カリスマ指揮者がいれば指示を聞いているだけで良い時もあるかもしれませんが、お互い自分たちでどこが良くなかったか、良かったかって結構わかると思うんですよね。それを振り返って共有していくと、主体的に演奏改善が出来る面はあると思います。

ですので、合奏の合間に入れる場合は、最初は演奏についてのことのほうが話しやすいと思います。そこから徐々にチームのコミュニケーションのことをテーマに入れていくとやりやすいんじゃないかなと思います。

ちょっとした合奏の休憩タイムみたいなものですが、このデザインは様々で、カッチリ時間を取ってやってもあまりアイディアが出てこない場合もあります。緩くリラックスした状態でやった方が良い場合がありますよね。ですから休憩は有効に使えますね。企業で行われている例としては気軽に雑談できるカフェスペースを作ったりとか、そういうところもあります。

―ちょっとしたお茶タイムみたいな感じですかね。平昌五輪でのカーリング女子のもぐもぐタイムみたいな。試合の合間にやってますよね。

菅谷:そうですね(笑)確かにもぐもぐタイムは振り返りの時間ですね(笑)


■チームビルディングを成功させるために

―最後になりますが、チームビルディングを成功させるための特に重要なポイントはどこにありますか?

菅谷:一つは最初に「やりたい」と思った人の強い想いですね。制度的に形だけ入れてもダメなので、やりたい、という想いが大事です。

もう一つは、色々な人の力を借りること。一人で全部背負い込もうとしてもうまくいかないので、有志のように少しずつ協力者を探すこと。

最後に、最初から完璧を求めない、ということですね。

―本日は長い間、ありがとうございました。

菅谷:こちらこそ、ありがとうございました。


インタビュー:梅本周平(Wind Band Press)


 

いかがでしたでしょうか。

どこかで言葉は見聞きしたことがあるかもしれないチームビルディング。もしグループの人間関係の悩みを改善したい、「チーム」としてまとまりたい、などお悩みの場合は、「株式会社チームビルディングジャパン」のサイトを見てみるのも良いかもしれません。

具体的なイベントやツールの紹介、コラムなどもあります。チームビルディングは形式化された理論ではなくコンサルティング的なアプローチが基本のようなのでセミナーなどは少ないですが、もしお悩みのことがあればチームビルディングジャパンさんにお問い合わせをしてみるのも良いかと思います。

今回のインタビューは菅谷さんの業務時間内に行わせていただきました。ご協力頂きました株式会社チームビルディングジャパン様に心より御礼申し上げます。

チームビルディングジャパンのSNSでも、チームビルディングにまつわるコラムやチームビルディングの様子などをお届けしています。

是非ご覧ください。

チームビルディングジャパンTwitter

チームビルディングジャパンFacebook

 


菅谷 宏一(すがや こういち)プロフィール

茨城県龍ケ崎市出身。東京都小金井市在住。

中央大学にて心理学、筑波大学大学院にて教育学を専攻。チームビルディングにつながる対話やファシリテーション、ワークショップの考え方に出会う。教員5年、コミュニティスペース運営4年を経て、2016年からチームビルディングの専門会社「チームビルディングジャパン」で企業・団体の組織づくりを支援している。生涯学習開発財団認定ワークショップデザイナー。

8歳からリコーダー、10歳からチューバを始め、独奏・室内楽・吹奏楽・管弦楽などで活動。所属する大学・一般の吹奏楽団で吹奏楽コンクール全国大会に3回出場し、うち1回は金賞を受賞している。

Facebook にシェア
Pocket
LINEで送る
LinkedIn にシェア