【メルマガバックナンバー】「推し」で前売り券を売る






 

こんにちは!

Wind Band Press編集長の梅本です。

編集長コラムでは、最近気になることや、経験上何か役立ちそうなことなんかを、ちょこちょこと書いていきます。

2022年はWind Band Pressのメルマガで言いたいことを言ってしまっていることが多かったので、バックナンバーをブログで公開していましたが、2023年以降はWind Band Press本サイトの記事で公開していきます。

今日は2023/2/10のメルマガバックナンバーです。


さて今日は「『推し』で前売り券を売る」というお話。

アマチュアの場合は前売りをしない無料公演が多いと思うのでおもに「有料公演だけど前売りが売れないプロ」向けの話にはなるのですが。

よく「当日券は500円増し」ってあるじゃないですか。

あれって「前売りを買っておいたほうがお得ですよ」っていう前売りを売るための伝統的な(?)手法のような気がするのですが、本当にその「500円増し」に前売り販売を促進する効果があるのか、ちょっと疑問に思っている昨今です。

実際前売りが完売したほうが運営も楽そうだしプレッシャーも早めになくなりそうですが、なかなか前売りが完売しない団体や奏者もいますよね。

ロックやポップスのCDでも「初回特典」「予約特典」っていう形で発売前のオーダーを多く取る施策がありますが、初回特典盤のほうが高いんですよね。

でも通常盤が売れないから、そういう売り方をしている。

そこに消費者行動のヒントがあるんじゃないかなと。

「当日券より500円安い」とかよりも、もっと「特典」として「これを買わないと手に入らない」モノやサービスをつけたほうが、前売りが売れるんじゃないかと思うんです。

かといって経費がかかりすぎてもいけないですから、年間の数公演とか、もしくは2年越しとかで使い回し出来て、お客様にも毎回新鮮な気分になるものが良いかなと。

なおかつ前売り購入者を「熱狂的なファン」に変えたい。

前売り購入者って

「特にファンというわけでない(先生が出てるからとか)」

「そのバンドや奏者のファンである」

「そのバンドや奏者の熱狂的なファンである」

という感じで濃度が違うと思うんですよ。

なので、せっかく前売りを買ってくれるほどの人がいるなら、その人を「熱狂的なファン」に変えたほうが、次からのプロモーションもだいぶ楽になると思うんです。

ふと思いついたのはトレカですね。

印刷費もたいしたことはないと思うので、(デザイン費も含めると安くはないけど)例えばプロ吹奏楽団であれば、メンバーごとのトレカを作る。

公演当日に前売りの人と当日の人の入り口を分けて、前売りで入場する人には特典のトレカを配ります。

プロ野球チップスのカードのように、もらったときには袋の中に誰のトレカが入っているかわからないようにしておきます。

ドキドキワクワク感がありますね。

この場合、お客様が奏者の誰かのお弟子さんであれば師匠のトレカがほしいかなと思いますが、特に推しがいないお客様にとっては、「推し」が出来るきっかけになるかもしれません。

袋をあけたら「トロンボーンの○○さん」が出てきたとします。

その時点でその人が気になりますよね。「誰やねん」と。

トレカの表面に写真と名前、裏面にプロフィールが印刷されていたとしましょう。

お客様は、「トロンボーンの○○さん」について、名前も顔もプロフィールも開演前に知っている状態になります。

演奏中もおそらくその「トロンボーンの○○さん」に注目するでしょう。

そして「トロンボーンの○○さん」は、きっと素敵な演奏をしてくれるはずです。プロだし。

お客様は「トロンボーンの○○さん」にとても良い印象を持つのではないでしょうか。

こうして「推し」が生まれます。

「推し」がいれば、次回も行こう、となる可能性が高いですし、その人がやっている室内楽やソロリサイタルにも足を運んでくれるかもしれません。

かなり楽観的な希望的観測の話ですが、こういう「推し」を作るような「レアもの」「レア体験」を前売特典に付けられたら、だいぶ風向きが変わるのかなと思います。

大勢のお客様それぞれに、その楽団の中に「推しプレーヤー」ができれば、その楽団のファン層はかなり濃いものになります。

ソロでの活動が多い方の場合はちょっとまた違ったことを考えないといけないかなという気がしますが(ミート&グリートの権利がついてくるとか)ポイントは「前売り」に「特典」として「前売りを買わないと手に入らないもの」を付与することです。

本番に向けて奮闘している様子をおさめたドキュメンタリーDVDを作るとかね。

そうすることによって、最初は「楽団や奏者からの発信(特典)=お客様にとっては受信」だったものが、お客様がファンになって次の行動を自発的に決めたりSNSで話題にしたり、「発信」する側に変わるんですよね。

ここが「推し」文化、推し経済の面白さだと思います。

500円の差額じゃ前売りを買う動機としては弱いと思うんですよね。

アマチュア楽団の場合は、プロ奏者がいるわけではないのと、団員の出入りも激しいと思うので、「箱推し」を目指したほうが良いですよね。

これは前売りをするかどうかに限らず目指したいところです。

アマチュアって活動拠点がどこかの地区に限定されていることが多いと思うので、地元企業とのタイアップとかがいいかもしれないですね。

前に広島ウインドオーケストラ(プロ)がクラウドファンディングをやったときに、リターンの中にオタフクソースがあったんですよね。

広島のオタフクソースとコラボして広島ウインドのラベルが貼ってあるオタフクソースをリターンに入れてたんです。

ああいうのは良いなと思いました。地元愛を感じますよね。

「推し」の文化は経済を回すと思うので、「推される」ためにどうしたらいいか、ということを考えると良いのかもしれません。


以上、メルマガバックナンバーでした。

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