オーケストラ、吹奏楽等を中心に様々な音楽活動を行っているコントラバス奏者で、シンフォニエッタ静岡に在籍する石川智崇(いしかわ ともたか)氏が、吹奏楽部でのコントラバスの取り扱いを記したサイト「(主に吹奏楽部の為の)コントラバス取扱説明書」を公開した。
このサイトの設立主旨として、石川氏はサイト上で下記のように述べている(抜粋)。
アマチュアの方々の指導から音楽科の専門の高校のレッスンまで幅広くやらせていただいておりますが、その中でとにかく問題が多いのが吹奏楽部です。
問題は大きく分けて2つ。
ひとつは楽器の状態が非常に悪い事。
大規模な吹奏楽の講習会の講師などをさせていただく事も多々あるのですが、1度に多ければ20校くらいのコントラバスの子達がいるうち、まともな状態の楽器を持ってくるのは一校あるかどうかと言うのが現実です。ほとんどは僕でもまともに音が出せない様な状態の楽器を持って来ます。
もうひとつは、僕らからするととんでもなく間違った知識を信じ込んでいる事が多い事。
「おい知ってるか?地震ってナマズが暴れて起こしてるらしいぜ!」
くらいのレベルの迷信が本気でまかり通っているのが吹奏楽部のコントラバスです。
吹奏楽部出身バス弾きとしてはとても悲しいです。
2つの問題の原因はひとつです。
コントラバスの事をよく知らないから!
コントラバスの事をよく知らないから楽器の状態も分からず、めちゃくちゃになってても放置。
コントラバスの事をよく知らないからおかしな情報を信じ込んでしまう。
最近は何でも検索できますけど、ネット上にも微妙な情報が割と混じってるんですよね・・・。
そういった状態にあって1番辛いのは、今実際に部活でコントラバスを与えられて頑張ろうとしている子達です。
どんなに頑張ろうとしても、その両手にあるのが駄目な状態の楽器と間違った知識では報われません。
このサイトは、どこかでそんな状況下にいる子にとってちょこっとでも手助けとなる事を願って、コントラバスを相棒にしている子達に正しい取り扱い方を知ってもらう為に、ちまちまと制作しました。
サイトには「弓」「弦」「駒」などから「バス椅子」「保守・管理」「演奏の準備」「演奏を終えたら」まで豊富で細かなメニューがあり、それぞれについて正しい取り扱い方法が開設されている。(なんとエレキベースのコーナーまである)
「もっと大きい音で弾くように」と指揮者兼顧問の先生に要求されることもあるコントラバス、先生がそもそも構造や特徴を理解していないことも多いであろうコントラバス。
石川氏は「吹奏楽部の顧問の先生方へ」と題し、同じくサイト上で下記のように訴えている(抜粋)。
部活で購入するような価格帯の楽器でも、きちんと調整、メンテナンスをし、正しい奏法で弾けば、吹奏楽の中でもコントラバスの音はしっかり響いて全体を支えることができます。
逆に言えばどんなに高価な楽器を正しい奏法で弾いたとしても、きちんと整備されていない楽器ではまともな音は出ません。
しかしながらコントラバスに関しては最低限の知識すらなく、ひどい状態の楽器だけ持たされて合奏に放り込まれてしょんぼりしている子が沢山いるのです。
コントラバスの子達に「聞こえないからもっと大きく弾け!」と仰る前に楽器を見てあげてください。
弦と弓の毛はいつ交換したか確認してあげてください。
最後に調整に出したのはいつか思い出してあげてください。
折れたバットを持たされて「ホームラン打ってこい」って言われてもどうにもなりません。
また奏法については、特殊奏法のみ記載し、今後はおすすめの教則本情報を掲載予定とのこと。
吹奏楽部のコントラバス奏者はもちろんのこと、顧問の先生にも自分の知識が正しいのかどうか、コントラバスとは何なのか、一度「(主に吹奏楽部の為の)コントラバス取扱説明書」を見て確認してみては。
サイトはこちら
「(主に吹奏楽部の為の)コントラバス取扱説明書」
石川智崇(いしかわ ともたか)氏 プロフィール
神奈川県立弥栄東高等学校音楽コースを経て、洗足学園音楽大学卒業、同大学院を修了。
大学卒業時に卒業演奏会に出演。コントラバスを井戸田善之氏に師事。
クラウス シュトール、ナビル シェハタ各氏のマスタークラスを受講。これまでにMMCK、防府音楽祭、霧島音楽祭等に参加。
オーケストラ、吹奏楽等を中心に様々な音楽活動を行っている。
神奈川県立弥栄高等学校非常勤講師。シンフォニエッタ静岡団員。
協賛
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