CDレビュー:ここまで暖かい指揮者とバンドの組み合わせは他にはいない!宮川彬良(指揮)オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラ「吹奏情話、八尾」




株式会社フォンテック様から2018/2/21発売のCD、宮川彬良(指揮)オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラ「吹奏情話、八尾」が届きましたので、簡単にレビューしてみようと思います。

2017年2月、今から約1年前の定期演奏会のライヴ録音盤。アンコールの「星のカービィ」も収録されています。

タイトル曲となる「吹奏情話、八尾」で幕開け。吹奏情話というのは宮川さんが名付けた新しいジャンルだそうです。詳しくはブックレットを読んでいただきたいのですが、演奏会の幕開けとしてふさわしいだけでなく、プログラムのどこに置いても、またコンサートでなくても演奏できる、楽しめる作品に仕上がっています。メロディがまた尋常じゃなくカッコいい!これぞ宮川彬良さんですね。アキラさんファンはもちろん必聴必携。

次はおそらくアルバムのメインになるであろうバーンスタインの「シンフォニック・ダンス」、これがまた力強くしなやかな演奏!集中力も高く、メリハリが効いていて、楽しく聴くことが出来ます。宮川さんの世界観でやると、こうなるんですねえ。ところどころに見られるメランコリックさも秀逸です。バーンスタイン作品と宮川さんは相性良さそうですね。

ここから20分クラスの作品がドカン!と続きますが、どれもあっという間。

まずは古典的名作、ロバート・ラッセル・ベネット「アメリカ古典舞踊組曲」。こちらでも軽快なリズムが特に印象的で、ダンサブル、リズミカル、そういった作品での宮川さんの「聴いてると踊りたくなる」ようなリズムの作り方が最高に気持ちいいです。

「パリのアメリカ人」でも元々あるリズムの面白さを際立たせながら、ちょっとコメディのような音楽を「カッコつけないオシャレさ」で聴かせてくれます。フォーマルスーツじゃないしトラッドカジュアルでもないけどオシャレ。かといって崩したオシャレでもなく、なんだろうな、俳優の吉田鋼太郎さんみたいな感じかな。ハッキリと個性はあるけど下品ではないしむしろ上品だし、という感じですね。これもぜひご一聴頂きたい演奏です。

そして個人的に勝手にメインにしている「アニメ『星のカービィ』より 強いぞ星の戦士(チェックナイト)」。元々ゲーム音楽をアキラさんが手掛けておりその吹奏楽版なわけですが、このアルバムで一番かっこいい(笑)。たまりませんねこれは。「吹奏情話、八尾」から「パリのアメリカ人」まで聴かせてきた色々なこの日の音楽をギュッと凝縮したような、まさにこの演奏会のアンコールにうってつけのプログラミングですね。

演奏作品の多くが他に音源があったり他のバンドも演奏しているので、話題性に特化したようなプログラムではありませんが、宮川さんとオオサカ・シオン・ウインド・オーケストラがいま何を大事にしているのか、そういったことがなんとなく伝わってくるような、丁寧で、暖かみのあるライヴだなあと感じます。人情なんですよね。人情。

プロ吹奏楽団も増えてきたような気がする昨今ですが、ここまで暖かい指揮者とバンドの組み合わせは他にはいないでしょうね。その温度をうまくパッケージ出来ている、心がほっこりするアルバム。素敵です。

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レビュー:梅本周平(Wind Band Press)


商品詳細は以下の通り。

▼メーカーより

2017年2月5日、ザ・シンフォニーホールで行われた、オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラ第116回定期演奏会のライヴ録音。指揮は音楽監督の宮川彬良です。

「宮川彬良が語る、音楽の“情”と“真”」をテーマに催された演奏会。

大阪府八尾市が「八尾市吹奏楽フェスティバル」のために宮川に委嘱した新作『吹奏情話、八尾』に始まり、レナード・バーンスタイン、ジョージ・ガーシュウィン、ロバート・ラッセル・ベネットらによる20世紀アメリカで生まれた作品が収められています。

宮川音楽の魂が詰まった『吹奏情話、八尾』。そして宮川が得意とするアメリカ音楽。情趣と迫力に富んだパフォーマンスをお楽しみください。

品番:FOCD9772
定価:¥2,600+税

指揮:宮川彬良(Akira Miyagawa)

演奏:オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラ(Osaka Shion Wind Orchestra)

収録内容:

1. 吹奏情話、八尾:宮川彬良 [5:40]
Emotional Story for Wind Orchestra “YAO”

ミュージカル「ウエスト・サイド物語」から“シンフォニック・ダンス”:レナード・バーンスタイン(編曲:ポール・ラヴェンダー)
Symphonic Dances from West Side Story:Leonard Bernstein(arr. Paul Lavender)
2. プロローグ  Prologue [4:30]
3. サムホエア  Somewhere [4:17]
4. スケルツォ  Scherzo [1:26]
5. マンボ  Mambo [2:19]
6. チャ・チャ  Cha-Cha [1:07]
7. 出会いの場面  Meeting Scene [0:46]
8. クール  Cool [0:48]
9. フーガ  Fugue [3:31]
10. ランブル  Rumble [2:03]
11. フィナーレ  Finale [2:57]

アメリカ古典舞踊組曲:ロバート・ラッセル・ベネット
Suite of Old American Dances:Robert Russell Bennett
12. I. ケーク・ウォーク  Cake Walk [4:03]
13. II. ショーティック  Schottische [3:11]
14. III. ウェスタン・ワン・ステップ  Western One-Step [3:37]
15. IV. ウォールフラワー・ワルツ  Wallflower Waltz [4:19]
16. V. ラグ  Rag [3:31]

17. パリのアメリカ人:ジョージ・ガーシュウィン(編曲:保科洋) [19:09]
An American in Paris:George Gershwin(arr. Hiroshi Hoshina)

18. アニメ「星のカービィ」より 強いぞ星の戦士(チェックナイト):宮川彬良 [3:01]
Checker Knights:Akira Miyagawa

2017年2月5日 ザ・シンフォニーホールライヴ録音
Recording Date: The Symphony Hall (Japan) 5 February 2017

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