2016年10月5日に発売された、飯守泰次郎/東京佼成ウインドオーケストラのアルバム「ワーグナーの夕べ」。
吹奏楽を指揮することが珍しいマエストロ飯守泰次郎の貴重なライヴ盤です。
バイロイト音楽祭元総監督・ヴォルフガング・ワーグナー氏をして「飯守泰次郎こそドイツ語でKapellmeister(名指揮者)と呼ぶにふさわしく、そこにはマエストロと言う言葉以上に大きな尊敬の念が込められている」と言わしめた飯守泰次郎。
常にワーグナーと対峙してきた氏の音楽は吹奏楽編成でも素晴らしいサウンドを導き出し、作品を大きく捉えたよどみのない壮大な音楽の流れに身を任せられるCDに仕上がっています。
アマチュア吹奏楽では何かと「縦の線が云々」「ピッチが云々」と言われることもありますが、このあまりにも美しい音楽の前ではそのような聴き方はもったいない。ワーグナーへのリスペクト、そして探求心にあふれた偉大なマエストロの音楽を、存分に味わおうではありませんか!
吹奏楽でこんなに大きく作品を捉えた演奏はなかなか聴くことが出来ません。もちろんそれは作品自体の性質にもよるところが大きいとは思いますが、ぜひ多くの吹奏楽指導者の方、演奏者の方にも参考にしてほしい音楽です。
特に「音楽の流れを大事にしている」はずなのに実際はそうなっていない指揮者の方、これを聴いてお勉強しましょう。
マエストロの唸り声もバッチリ収録されていたりしますが(どの録音でも唸り声が入ってしまうんだそうです)、プログラム後半に向けてバンドと一体になっていくライヴ感のある演奏で、一枚聴き終えた後には多幸感に包まれていることでしょう。
ぜひより良い音響設備で聴いていただきたい一枚です。
「ワーグナーは苦手」と言う方もぜひ。印象が変わるかもしれませんよ?
レビュー:梅本周平(Wind Band Press)
品番:FOCD9701
定価:¥2,600+税
発売日:2016年10月5日
メーカー:フォンテック
演奏:東京佼成ウインドオーケストラ
指揮者:飯守泰次郎
収録内容:
リヒャルト・ワーグナー:
歌劇「さまよえるオランダ人」序曲(M.ハインズレー編)
歌劇「ローエングリン」より「エルザの大聖堂への行列」(L.カイエ編)
楽劇「トリスタンとイゾルデ」より「前奏曲と愛の死」 (大橋晃一編)
歌劇「タンホイザー」より「入場の行進曲(祝祭行進曲)」(J.ハルトマン編)
楽劇「ジークフリート」より「森のささやき」 (大橋晃一編)
楽劇「神々のたそがれ」より「葬送行進曲」 (D.ゴッドフライ編)
楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1 幕への前奏曲 (木村吉宏編)
録音:2013 年10 月18 日 東京芸術劇場コンサートホール
東京佼成ウインドオーケストラ 第116 回定期演奏会 ライヴ録音
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