株式会社フォンテック様から2019/2/20発売のオオサカ・シオン・ウインド・オーケストラのCD「サヴァンナ・シンフォニー」が届きましたので、簡単にレビューしてみようと思います。
個人的にプロのCD(演奏会もそうですが)には、技術的・音楽的なクオリティの高さ、総合的に芸術としてのクオリティの高さを求めてしまうのですが、反対にアマチュアのCDまたは演奏会にはそれよりも「吹奏楽やってて楽しい!」「演奏できて今とても楽しい!」というパッションの部分を期待してしまいます。
今回の、作曲者のフィリップ・スパーク氏を指揮に招いての「スパーク作品集」は、その両方の良いところをかけ合わせたようなアルバムに仕上がっていますね。
第120回定期演奏会のライヴ録音で、演奏会の曲順通りに収録されているみたいです。1曲めの「ナポリの休日」の冒頭こそ、作品の快活さに反して少し緊張や「置きにいっている感じ」が聴こえますが、さすがそこはプロ中のプロともいえるシオン、すぐに立て直してきます。
立て直した後が、他のCDとちょっと違うところで、技術的にも音楽的にも高いクオリティの演奏を提供してくれるのはもちろんですが、「今、この作品を演奏できるのが楽しくて仕方がないんだー!」みたいな、アマチュアが持っているような良い意味でのパッションがあふれ出します。
その後もどんな作品の弾けるシーンでもシリアスなシーンでも、「芸術的なクオリティの高さ×たーのしーい!」がババババンと、これでもかと、伝わってくるんですよね。
宮川彬良さん、秋山和慶さん、西村友さん、誰の指揮でもそれぞれに興味深い演奏をしてくれるシオンですが、今回のようなハイレベル・ハイパッションなアルバムはなかなか出ないんじゃないかと思います。(ドラゴンの年は楽しそう過ぎて笑ってしまいましたね)
そういう意味では普段の指揮者陣の中では宮川彬良さんとやっているときに近い感じではあるのですが、プロが「超楽しいぜ!」って感じで演奏することで、スパーク作品によく見られるキラメキが倍になっている印象があります。
レビューするのも無粋なほどに「聴いてみんさい楽しいけえ」というアルバム。別にお金をもらってレビューを書いているわけでもないですし、シオンさんにいい顔したいわけでもなく、本当にただ純粋に楽しいんですよこのCD。
普段はロックばっかり聴いている僕ですが「この仕事やっててよかったな~」ってしみじみ思いますね。いやあこれはまだ2月ですけど2019年の個人的ベストアルバム、暫定1位!吹奏楽、楽しいよね!(くっそーまた演奏活動再開したくなってきたな~ウズウズ)
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レビュー:梅本周平(Wind Band Press)
商品詳細は以下の通り。
▼メーカーより
2018年6月3日、大阪のザ・シンフォニーホールで行われた、オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラ第120回定期演奏会のライヴ録音です。
2015年6月の初共演(FOCD9694「シオン×スパーク!」としてCD化)から3年。「スパーク、再び。」と題し、フィリップ・スパークの指揮によるオール・スパーク・プログラムが再度実現しました。
本邦初演の「スラヴォニカ!」をはじめ、アメリカ初の都市計画で建設されたサヴァンナ市の歴史や風物、建造物などからインスピレーションを得て作曲され、第3楽章にバンダが使用される等これまでの作品とは一線を画す大作である交響曲第2番「サヴァンナ・シンフォニー」、打楽器、木管低音群、コントラバスを加え現代の吹奏楽スタイルにスケールアップした「ドラゴンの年」(2017年版)等、人気曲を多数収録しています。
品番:FOCD9804
定価:¥2,600+税
発売日:2019/2/20
メーカー:株式会社フォンテック
指揮者 (Conductor):フィリップ・スパーク (Philip Sparke)
演奏団体/演奏者 (Player): オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラ (Osaka Shion Wind Orchestra)
収録曲 (Song List):
作曲:フィリップ・スパーク (Philip Sparke)
1. ナポリの休日 [7:26]
Neapolitan Holiday
スラヴォニカ!
Slavonica!
2. I. レント・アッサイ~プレスト Lento assai – Presto [5:05]
3. II. グラジオーソ Grazioso [3:12]
4. III. モデラート~ヴィヴォ Moderato – Vivo [3:57]
ドラゴンの年(2017年版)
The Year of the Dragon [2017 Version]
5. I. トッカータ Toccata [3:10]
6. II. インタールード Interlude [7:01]
7. III. フィナーレ Finale [3:52]
交響曲第2番「サヴァンナ・シンフォニー」
A Savannah Symphony : Symphony No.2
8. I. 1733年2月12日のヤマクロ・ブラフから Yamacraw Bluff, February 12th, 1733 [5:01]
9. II. コトン・ジン(綿織り機) The Cotton Gin [7:24]
10. III. 生まれ、また生まれ変わる街 A City Born and Reborn [7:42]
11. 陽はまた昇る [5:18]
The Sun Will Rise Again
12. オリエント急行 [7:37]
Orient Express
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