フォンテック株式会社様から6/20発売のオオサカ・シオン・ウインド・オーケストラ&西村友さんのCD「交響的舞曲」が届きましたので、簡単にレビューしてみようと思います。
2017年10月29日に行われた第118回定期演奏会のライブ録音ですね。西村友さんが正指揮者に就任したのがこの年の4月。新しい正指揮者とシオンがどんな音楽を聴かせてくれるのか、当日の聴衆の皆さんもワクワクしていたんじゃないかと予想されます。
正直このCDを最初に聴いたときは「上手い・・・ウン、上手いよね・・・ウン・・・」くらいしか感想がなくて、「で、なんなんだろう、この違和感は・・・」っていう感じでした。でも知りたいじゃないですか。何を聴き落としているのか、何に気づいていないのか。てことで2巡目、さらに集中して聴きます。
おそらく「ああ、こういうことかな」って浮かんできたのは「交響的舞曲」を聴いたときですね(2巡目)。実際にマエストロが何を目指したのかは分かりませんので、あくまでも聴いた感じになりますが、おそらくマエストロが今回描き出したかったのは、ややもすれば「ド派手」「ド迫力」で終わりがちな吹奏楽編成の中にある、独特の美しさとロマンティシズムなのではないかと思います。
それはCDの最後に収録されているかつての課題曲「ある英雄の記憶」を聴くとより鮮明になるのですが(ちなみにこれはこの日のアンコール)、あらためてこのコンビで聴くと、ただドラマチックな楽曲というより、サウンドの美しさとロマンティックさが凝縮されているんですよね。
これで3巡目に突入して(まだ聴く)、「華麗なる舞曲」を聴くと、最初に抱いていた違和感の正体が分かってきます。日本国内では色々な演奏を聴く機会がある作品ですが、今までの「派手」「カッコイイ」「バカテク」みたいな印象がほとんどないんですよね。多分フォーカスしているところが美しさとロマンティシズムだからなのではないかな、と思います。新しい発見っていうのは新しいアプローチから生まれるんだなあ、という感じですね。なので迫力満点ぶっ飛び演奏を期待すると何も得られないですけど、その代わりにこの作品の「こんなに美しい作品だったんだ」「こんなにロマンティックな作品だったんだ」という側面を聴くことが出来ます。これはスパークの「ダンス・ムーヴメント」でも同じですね。
名指揮者のアンドレ・プレヴィンが残した名盤の中に、むせかえるほどロマンティックなラフマニノフの交響曲第2番のレコードがあるんですが、感触としてはそれに近いですね。
極めていくとこのコンビは新しい吹奏楽サウンドを提示することになるのかもしれません。今後のシオンがさらに楽しみになるCDですね。
聴き慣れた作品を新鮮な気持ちで聴ける、かなりナイスなアルバムです。ぜひ何度も聴き返して色々な発見を楽しんでほしいと思います。
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レビュー:梅本周平(Wind Band Press)
商品詳細は以下の通り。
▼メーカーより
2017年10月29日、ザ・シンフォニーホールで行われた、オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラ第118回定期演奏会のライヴ録音。
指揮は、同年4月よりシオン正指揮者に就任した西村 友です。
“ダンスの競演”をテーマに、前半ではスミスの「華麗なる舞曲」とスパークの「ダンス・ムーヴメント」、そして後半では西村 友の新たな編曲により、ラフマニノフ最後の大作「交響的舞曲」が採り上げられました。
スミスやスパークの吹奏楽オリジナル作品ではその華やかな技巧・多彩なサウンドによるダンス音楽を、そして管弦楽からのアレンジであるラフマニノフ作品からは作曲者の心の葛藤を綴ったダンス音楽を、存分にお楽しみください。
品番:FOCD9782
定価:¥2,600+税
演奏:西村 友
指揮者:オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラ
収録内容:
C.T.スミス:華麗なる舞曲
P.スパーク:ダンス・ムーヴメント
S.V.ラフマニノフ(西村 友 編):交響的舞曲
西村 友:ある英雄の記憶 ~「虹の国と氷の国」より~
2017年10月29日 ザ・シンフォニーホール ライヴ録音
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