2000年にチェコで産声をあげた新興クラリネットブランド「RZクラリネット」は、時を経て2017年に日本上陸。
その経緯から、クラリネットに対するこだわり、今後の日本での展開など、日本初のRZアーティストであるクラリネット奏者の三浦幸二さんと、RZクラリネット日本総輸入代理店の瀧本雅人さん(有限会社リスコム代表取締役)が熱く語ります。
■RZクラリネットとの出会い瀧本:
この度はRZクラリネットをお買い上げ頂きましてありがとうございました(笑) 三浦さんは日本で初めてのRZクラリネットのユーザーであり、またチェコにあるRZ Woodwind Manufacturing(RZ本社)の公認アーティストとしてご活躍ですが、RZクラリネットをお選びいただいたキッカケから教えていただいてもよろしいでしょうか?
三浦:この度は素晴らしい楽器をありがとうございました(笑) RZクラリネットとの出会いですが、実は以前はずっとクランポンユーザーで、B♭管はR-13、A管はRC Prestigeを使用しておりました。大変素晴らしい楽器で、私自身も気に入っていたのですが、購入から20年を過ぎるあたりから流石に限界を感じてきて、2010年頃から新しい楽器の購入を検討しておりました。
瀧本:2010年といえば、RZクラリネットは日本では未発売でしたね。
三浦:はい。その頃ちょうどシカゴでモーリーさん(Morrie Backun/Backun Music Service社長)にお会いして、まだ日本に入ってきていなかったバックーン・クラリネットを試奏させていただいたり、クランポン社製品を含めて様々な楽器を試奏させていただいておりましたが、購入するまでには至りませんでした。そんな折、愛知でご活躍中のクラリネット奏者の中村由加里さんがSNSでRZクラリネットについて書かれていたのを見つけて、連絡を取らせていただいたところ、すぐに試奏会のセッティングをしてくださり、そこで初めて瀧本さんにお会いすることができました。
瀧本:そうでしたね。2017年1月に輸入を開始して、まだ間もない頃でしたね。最初の印象はいかがでしたか?
三浦:まず瀧本さんの理系ならではの解説に圧倒されました!(笑) でもお話の中ですごく納得できるところもあって。
瀧本:ありがとうございます。ちなみにどんなお話でしたでしょうか?(笑)
三浦:例えばボアの内径の話ですね。それがピッチや音色、吹奏感に与える影響などは大変勉強になりました。
瀧本:そうでしたね。そこで三浦さんと話が盛り上がって、結局三浦さんのアイデアで新しい形状のタルをチェコ本社で製作してもらったんですよね。私の娘もクラリネットを吹いているのですが、三浦さんの改良版のタルでピッチや吹奏感が改善されたと喜んでいましたよ。
三浦:光栄です!
■RZクラリネットの特色瀧本:
マニアックな話は置いておいて(笑) RZクラリネットの印象はいかがでしたか?
三浦:ピッチや吹奏感は、吹き方によって個人差がありますので、私が大事にしていたのは、その楽器が持っている音色感ですね。音程やニュアンス、音のキャラクターなどは、奏者自身がコントロールして創るものと思っておりますが、楽器本来の持っている音色感というのは、やはり設計して製作する段階である程度決まってしまう部分があると思うんです。そこは奏者ではどうしようもない部分なので。
瀧本:なるほど。RZクラリネットの音色感はいかがでしたか?
三浦:初めて試奏させていただいた際に、凄く良いと思いました。楽器購入って、ファーストインプレッションって結構大切だと思っているのですが、まさに第一印象は「素晴らしい!」の一言。
瀧本:具体的には?
三浦:素直に木製の柔らかい音がするといいますか。私の感覚でいうと、自分がそれまで吹いていた古いR-13に凄く近いものを感じました。その親近感みたいなものも、購入を決断した理由の一つになっているかもしれませんね。
瀧本:操作性などはいかがでしたか?
三浦:最初、キーの位置にがビュッフェ社の製品と微妙に異なっていて少々違和感はありましたが、そのあたりはどの楽器を選んでも同じことなので。すぐに慣れました。キーの操作性は大変滑らかでスムーズな印象でした。
瀧本:ありがとうございます!
■RZクラリネットの独自設計瀧本:
RZクラリネットでは「素材の持つ本来の音を具現化する」ということに大変強いこだわりもっていて、これまでの通常のクラリネット製作で接合部分に使用されていた金属を、RZクラリネットでは一切使用しておりません。その代わりにカーボンリングで強度を上げることによって、バレルからベルまでの木材の振動を極力阻害しない独自設計となっています。そのあたりは実際に吹いていただいていかがでしょうか?
三浦:ジョイント部に金属を使用していないことは、RZクラリネットの大きな特徴の1つだと思います。最近ではジョイント部にカーボンリングを使用するメーカーも増えてきましたが、その場合でもジョイント部の内側に金属が使われているケースも多く、全く金属を使用しない独自設計は現代では珍しいと思います。そのことが音色や吹き心地に与える影響は本当に大きいと思います。金属で補強されていないので、木の本来の柔らかでナチュラルな音色で、これは他の楽器にはない魅力だと思います。
瀧本:ありがとうございます。
■RZクラリネットの今後瀧本:
現在、三浦さんには、RZクラリネットの「BOHEMA STAR」という機種をご使用いただいておりますが、日本で発売中の最上位機種となる「Capriccio 」や、日本未発売の「G」など、RZクラリネットの製品ラインナップも増えてきております。印象をお聞かせください。
三浦:私自身は現在使用させていただいている「BOHEMA STAR」を大変気に入っているので、別の機種の購入予定はないのですが(笑)。「Capriccio 」は一度試奏させていただきましたが、大変エレガントな楽器という印象です。RZクラリネットの特色を持ちつつ、キイシステムやデザインなど、全てに洗練されてますね。音色も大変明るく「BOHEMA STAR」とはまた違った良さがあると思います。「G」は、まだ日本に入ってきておらず吹いたこともないので何とも言えませんが、ヨーロッパで好評だと聞いています。チェコに行ったら試奏してみたいですね。
瀧本:今後のRZクラリネットに期待することは?
三浦:RZクラリネットは、そのコンセプトと音色が気に入って購入しましたが、現在も開発・改良が進められていると聞きますので、コンセプトはそのままに、更に進化したRZクラリネットを楽しみにしております。
瀧本:本日は長時間ありがとうございました。
三浦:こちらこそ!ありがとうございました。
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