ヤマハ株式会社は、 管楽器の新製品として、 リコーダーのようなやさしい指づかいやメンテナンスのしやすさによって気軽に始められ、 なおかつサクソフォンのような表情豊かな演奏を楽しめる新開発のカジュアル管楽器『Venova(ヴェノーヴァ)』「YVS-100」を8月30日(水)に発売します。
<価格と発売日>
品名:ヤマハ カジュアル管楽器 Venova(ヴェノーヴァ)
品番:YVS-100
価格:オープンプライス
発売日:8月30日(水)
◎初年度国内販売予定数:15,000本
<製品の概要>
このたび発売するカジュアル管楽器『Venova』※は、 管楽器の本格的な演奏感や表現力をより気軽に身近に楽しんでいただけるように開発された、 まったく新しいタイプのアコースティック管楽器です。
『Venova』では、 円筒管を分岐させた「分岐管構造」(注1)と蛇行形状による、 今までにない独自のデザインを採用しています。 「分岐管構造」によってサクソフォンなどの円錐形管楽器の音響特性を円筒管で実現することができるため、 コンパクトなボディサイズながら広がりのある音色を奏でることができます。 また管体を蛇行させることで、 音孔の間を狭めて指で塞ぎやすくし、 キイ(音孔を塞ぐための部品)の少ないシンプルな構造を実現しました。 この結果、 管楽器初心者でも演奏しやすい、 リコーダーに似たやさしい指づかいを実現しています。 また、 マウスピースとリード(注2)を用いて発音する管楽器ならではの本格的な吹きごたえと、 2オクターブの音域を備えているため、 管楽器初心者だけでなく経験者にも満足いただける楽器となっています。
さらにABS樹脂製のため軽量で耐久性に優れ、 水洗いも可能で、 取り扱いやメンテナンスが容易なため、 どこへでも気軽に持ち出せて、 アウトドアやカジュアルなセッションなどさまざまな場面で手軽に演奏を楽しんでいただけます。
※『Venova』は、 ラテン語で“風”を意味する“ventus”と、 “新しい”を意味する“nova”(新しい)を組み合わせた造語です。
詳細は以下の通りです。
<主な特長>
1.新開発の「分岐管構造」と蛇行形状による、 まったく新しいアコースティック管楽器
『Venova』では、 本格的な演奏性と気軽さを実現させるために、 「分岐管構造」と蛇行形状による今までにない独自のデザインを採用しました。
「分岐管構造」は、 円筒管を分岐させた「分岐管」を用いた構造で、 当社のバーチャル・アコースティック音源(注3)の応用研究をもとに独自開発したものです(後述「開発の背景」参照)。 この「分岐管構造」によって、 大きな音孔を必要としないという円筒形管楽器の特長を備えながら円錐形管楽器の音響特性を得ることが可能となり、 サクソフォンのように広がりを持った豊かな音色とリコーダーのようなやさしい指づかいを両立させることができました。
さらに、 指が音孔に届くように主管を蛇行させて音孔の間の距離を狭めたことで、 キイなどの部品の数を最小限に抑えたシンプルな構造を実現しました。 これによって、 メンテナンスしやすくなったほか、 小型化や軽量化、 高い耐久性も実現しています。
「分岐管構造」と蛇行形状の採用によって、 これまでの管楽器とはまったく異なる構造と特徴を備えた新たなアコースティック管楽器が誕生しました。
2.リコーダーに似たやさしい指づかい
「分岐管構造」と蛇行形状によって、 リコーダーに似た、 習得しやすく演奏しやすいシンプルな指づかいを実現しているため、 管楽器初心者も気軽に演奏を楽しむことができます。 リコーダーの指づかいには、 設計の違いに基づき「ジャーマン式」「バロック式」という異なる2種類のタイプがありますが、 『Venova』では、 トーンホールアダプターの着脱によってこれら2タイプのいずれにも対応するため、 演奏しやすい指づかいを自分で選ぶことができます。
3.気軽に扱えてメンテナンスも容易、 丈夫で軽量なコンパクトボディ
ボディがABS樹脂製のため、 軽量で壊れにくく水洗いも可能で、 気軽に取り扱えて簡単にメンテナンスできます。 また耐久性が高く安定性に優れた樹脂製の専用リードを付属し、 キイ部分のパッドにも安定性の高い合成素材を使用しました。 丈夫でコンパクトなので、 気軽にどこへでも持って行くことができ、 アウトドアなどさまざまな場面で演奏を楽しむことができます。
4.本格的な吹きごたえと高い表現力
『Venova』は、 ソプラノサクソフォンと同様の設計のマウスピースを備えており、 マウスピースに付けたリードを震わせて発音する「リード楽器」です。 サクソフォンのような音色とリード楽器ならではの本格的な吹きごたえによって、 表情豊かな演奏ができます。 またヤマハ独自の音響解析技術を活かして管体の内径と音孔の設計を最適化し、 2オクターブの音域を実現したことにより、 より多くの楽曲の演奏が可能となりました。
<開発の背景>
当社は、 1966年にヤマハブランドの管楽器第一号機としてトランペット「YTR-1」を発売し、 以来、 国内外のトッププレーヤーとの対話を重ね、 技術革新やノウハウを蓄積してきました。 現在では数多くのカテゴリでプロから初心者まで幅広いユーザーに愛用いただいています。
このたび新たに発売する『Venova』は、 「もっと気軽に、 もっと自由に、 より多くの人に管楽器の演奏を楽しんでほしい」という想いから生まれました。 最大の特徴である「分岐管構造」は、 1993年発売の当社シンセサイザー「VL1」に搭載されたデジタル信号処理によるバーチャル・アコースティック音源に用いられた「分岐管理論」(注4)を応用し、 具現化したものです。 豊かな音色ややさしい指づかいなどの特長を備えたまま構造をシンプル化することができ、 どこにでも持ち出せてメンテナンスも容易なことから、 目指す製品に最適な構造として「分岐管構造」を採用しました。
当社は本製品により、 アウトドアシーンやカジュアルなセッションなどさまざまなシーンで管楽器の新しい楽しみ方が広がることを願っています。
<注>
1) 分岐管構造
「分岐管構造」は円筒管を分岐させる構造です。 この構造を用いることで、 円筒管でありながら円錐形管楽器の音響特性を実現することができます。
リード楽器は、 管体の形状によって、 クラリネットなどの円筒形管楽器とサクソフォンなどの円錐形管楽器に大きく分類されます。 楽器の構造上の特徴として、 円筒形管楽器は楽器自体が比較的コンパクトで大きな音孔を必要としませんが、 指づかいが複雑になるという難点があります。 一方、 円錐形管楽器は指づかいが比較的平易ですが、 音孔が大きく指で塞げないためキイなどの複雑な機構を必要とします。
『Venova』では「分岐管構造」によって、 円筒管ならではのコンパクトなボディと指で塞げるサイズの音孔を持ちながら、 円錐形管楽器のように平易な指づかいで、 広がるような豊かな音色を奏でることを可能としています。
2) リード
サックスやクラリネットのマウスピースにつける弾力性のある薄片。 一方を固定し、 空気を送ることによって他方を振動させて発音源とします。
3) バーチャル・アコースティック音源
1993年に発売したヤマハシンセサイザー「VL1」に搭載した、 当社が世界で初めて開発した物理モデル音源。 自然楽器の発音の仕組みを高速演算でシミュレーションし、 デジタル信号処理技術で仮想的に作り出した「仮想楽器(物理モデル)」により音色を合成する音源システムです。
4) 分岐管理論
円錐管の音響特性は分岐した円筒管で近似できる、 という理論。 「円錐ホーンの反共振周波数の球面波理論による解析-円錐形管楽器の鳴る周波数」(実吉純一、 1977年)より。
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