「黛敏郎メモリアルVol.1」没20年・生誕88年記念シリーズ(全3回と関連公演複数あり)が4月5日に開催される(制作スリーシェルズ)。
Vol.1は黛敏郎の多彩な活動を紹介する意味で、電子音楽、室内楽、弦楽オーケストラまで幅広く特集する。
チケットはカンフェティとスリーシェルズで販売。
公演詳細は以下の通り。
黛敏郎(まゆずみ・としろう/1929-1997)は戦後音楽界のトップを走った作曲家です。
斬新な発想とダイナミックなサウンドは、世界で評価され、数々の芸術家に影響を与えました。
天才にしか為し得ない音楽に、誰もが憧れ注目したのです。
三島由紀夫とはオペラや電子音楽を作り、安部公房とはミュージカルを、モーリス・ベジャールとはバレエを作りました。黛とのコラボレーションから生まれた傑作は少なくありません。
美空ひばりや石原裕次郎のために映画の主題歌も作りました。
アカデミー賞映画「天地創造」や市川崑監督の映画「東京オリンピック」の音楽も作曲しました。
ミュージカルやオペラも書きました。
野球やプロレスのテーマ音楽として使われた「スポーツ行進曲」など誰もが知る曲も書きました。
現在も続くテレビ番組「題名のない音楽会」の初代司会者でもありました。
2017年4月で、黛敏郎が亡くなって20年を迎えます。
命日も近い4月5日「黛敏郎メモリアルvol.1」は、黛の東京音楽学校(現在の東京藝術大学)に入学直後の曲から、パリ留学を経て電子音楽や様々な経験を経て、鐘の響きに至った「涅槃交響曲」、そしてその後の創作まで重要作をたどります。
黛敏郎との交流が深かった演奏家とこれからの音楽界を担う、俊英たちによるコンサートとなります。
▼宣伝動画
■予定曲目について
◆「前奏曲」(1945)より、「天地創造」(1966)より
コンサートは黛少年が16歳で書いたピアノソロ「前奏曲Op.0」からはじまります。太平洋戦争が激化するなかで橋本國彦に指導をうけつつ作曲した「行進曲」。そして、終戦をむかえた後に書いた「エレジー」。そしてアカデミー賞映画「天地創造」を自身がピアノ編曲したテーマ等を秦はるひが演奏します。
◆「ヴァイオリン・ソナタOp.1」(1946)
この曲は、江藤俊哉のヴァイオリン、園田高広のピアノによって旧奏楽堂で初演されました。黛敏郎が進駐軍のクラブなどでジャズピアノを弾いていた経験も第2楽章で反映され、古典的な様式と新鮮な感覚が同居しています。黛の学友であった作曲家の矢代秋雄も傑作と絶賛しています。この作品は「題名のない音楽会」などで交流のあったヴァイオリニストの大谷康子と、作曲家でピアニストの新垣隆が演奏します。
◆三島由紀夫の詩と黛敏郎の電子音楽による「理髪師の衒学的欲望とフットボールの食慾の相関関係」(1957)
この曲は、上演記録も不明とされる謎の作品です。今回、楽譜と詩が発見され、電子音楽パートを復元しての上演が行われます。詩の朗読は、黛敏郎の長男である黛りんたろう。三島由紀夫と黛敏郎のコラボレーションが60年の時を経て甦ります。
◆「シロフォン小協奏曲」(1963)
この曲は1963年、打楽器奏者の平岡養一の委嘱によって作曲されました。現在では、世界の打楽器奏者が上演する人気の作品です。オーケストラ版、吹奏楽版、ピアノ版など様々なバージョンが存在しますが、今回は弦楽オーケストラ版(清道洋一編)によって上演されます。打楽器ソロは世界的コンクールでも評価される打楽器奏者の岩見玲奈です。
◆「ROKUDAN」(1989)
この曲は、篠?史子のために黛敏郎が作曲しました。世界中で上演されるハープソロの傑作です。箏の名曲である「六段」からインスパイアされ、日本的時空と音色彩が発揮され
る黛らしい創作です。今回、唯一の初演者による演奏となります。
◆「ヴァイオリンと弦楽オーケストラのためのカプリチオ」(1988)
この曲は1988年、江藤俊哉の還暦を記念して作曲されました。しかし、初演から20年以上埋もれていました。その復活上演を行ったオーケスト
ラ・トリプティークによる久々の演奏となります。ソロヴァイオリンには大谷康子を迎えます。黛敏郎がヴァイオリンへ抱く深い共感があらわれた傑作となっています。
今回の「シロフォン小協奏曲」と「カプリチオ」の指揮は、7月21日の「黛敏郎メモリアルVol.2」でピアノリサイタルを行う野平一郎です。
作曲家でありピアニスト、さらには近年指揮活動も旺盛に行う野平は、東京藝大を経てパリへ留学し、電子音楽の作曲もしています。
野平の精緻な思考と深く豊かな音楽性がどのように作用するか楽しみです。
黛敏郎没20年・生誕88年シリーズ
【黛敏郎メモリアルVol.1】
2017年4月5日19時開演 豊洲文化センター シビックセンターホール(5F)
予定曲目
天地創造より(1966)
12の前奏曲より(1945)
ピアノ:秦はるひ
ヴァイオリン・ソナタ(1946)
ヴァイオリン:大谷康子、ピアノ:新垣隆
ROKUDAN(1989)
ハープ:篠崎史子
三島由紀夫の詩と黛敏郎の電子音楽による「理髪師の衒学的欲望とフットボールの食慾の相関関係」(1957)
朗読:黛りんたろう、電子音楽パート復元:磯部英彬
シロフォン小協奏曲(1963・平岡養一委嘱/清道洋一による弦楽オーケストラ編曲)
ソロ:岩見玲奈
ヴァイオリンと弦楽オーケストラのためのカプリチオ(1988・江藤俊哉委嘱初演)
ソロ:大谷康子
指揮:野平一郎
演奏:大谷康子、篠崎史子、新垣隆、秦はるひ、岩見玲奈
ゲスト:黛りんたろう
オーケストラ・トリプティーク
コンサートマスター:三瀬俊吾
ヴァイオリン:荒井智子、小澤麻里、甲斐史子、加藤美菜子、迫田圭、高須昌緒、千原徳子、内藤歌子、能澤摩耶、藤代優意
ヴィオラ:伊藤美香、神山和歌子、川田留生、滝本沙代
チェロ:任キョンア、竹本聖子、細井唯
コントラバス:佐藤洋嗣、志水祐亮
電子音響:磯部英彬
ライブラリアン:青島佳祐
主催:ジャパニーズ コンポーザー アーカイヴズ
チケット カンフェティより販売
全席自由(一般):4,000円
全席自由(学生):2,000円
全席自由(高校生以下):1,000円(税込)
Vol.2 2017年7月21日19時開演・オペラシティリサイタルホール 【黛敏郎メモリアルVol.2】没20年・生誕88年シリーズ 「野平一郎ピアノリサイタル:黛敏郎ピアノ作品集」
12の前奏曲(1945)
オールデゥーブル(1948)
「金の枝の踊り」バレエかぐや姫より(1950)
「天地創造」組曲(1960)
ほか
主催:ジャパニーズ コンポーザー アーカイヴズ
Vol.3
2017年10月4日19時開演
豊洲文化センター シビックセンターホール(5F)
【黛敏郎メモリアルVol.3】没20年・生誕88年シリーズ
「黛敏郎弦楽オーケストラ個展:オーケストラ・トリプティークによる」
弦楽オーケストラのためのエッセイ(1963・日フィル委嘱初演)
シロフォン小協奏曲(1963・平岡養一委嘱/清道洋一による弦楽オーケストラ編曲)
ソロ:岩見玲奈
ヴァイオリンと弦楽オーケストラのためのカプリチオ(1988・江藤俊哉委嘱初演)
ソロ:大谷康子
バレエ「ザ・カブキ」よりの組曲(1986/より、清道洋一による弦楽オーケストラ編曲)
映画「天地創造」(1965/より清道洋一による弦楽オーケストラ編曲)
指揮:水戸博之
演奏:オーケストラ・トリプティーク
ヴァイオリンソロ:大谷康子
マリンバ:岩見玲奈
主催:オーケストラ・トリプティーク
関連演奏会2月20日「ピティナ・ピアノ曲事典 公開録音コンサート 秦はるひプロデュース世界へ発信!日本のピアノ曲 Vol.3」
黛敏郎:オールデゥーヴル
ピアノ:秦はるひ
打楽器:入川奨
3月26日「佐藤洋嗣コントラバスリサイタル・日本の作品を集めて」
板橋・安養院・瑠璃光堂
黛敏郎:BUNRAKUほか
9月18日「伊福部昭、黛敏郎、池野成、打楽器作品集」よみうり大手町ホール
シロフォン小協奏曲、ラウダ・コンチェルタータ、エヴォケイションほか
マリンバ:岩見玲奈、ピアノ:大嶋浩美
協賛
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