先日、映画公開情報と予告編映像について記事を書いた、映画「東京ウィンドオーケストラ」。
プレス用の試写会が遠方のため伺えなかったのですが、映画祭事務局の方からDVDを送って頂きました(大感謝)ので、さっそく見させていただきました。
ネタバレしてはいけないので凄く簡単になりますが、レビューしてみたいと思います。
まず簡単なあらすじは、
日本で有数の吹奏楽団「東京ウィンドオーケストラ」と間違われ、コンサートのため屋久島までやって来た観光気分のアマチュア楽団員たち。
しかし島をあげての大歓迎を不審に思った彼らは、自分たちが有名オーケストラと間違われていることに感づき、島から逃亡しようとする。
同じ頃、間違ってアマチュア楽団を呼んでしまったことに気づいた町役場の女性職員・樋口は愕然としながらも、自分のミスを隠すため、彼らを“本物”としてだまし通すことを決意する―――。
刻一刻と迫る開演時間。果たして樋口と素人同然のアマチュア楽団員たちは、このピンチを無事乗り切ることができるのか!?
というもの。
一見、「吹奏楽映画」のように思えますが、そうではありません。
娯楽大作映画でもありませんし感動大巨編でもありません。
ですから、「吹奏楽の映画」として期待してみるのはオススメしません。
青春モノでもないですしコンクールも出てきません。教育の話でもありません。
ただ、最後の最後に、僕は泣きました。
基本的にはコメディなのでニヤリとする場面が多いのですが、それでも泣きました。
おそらく多くのアマチュア吹奏楽愛好家(特にプレイヤー)にとっては、胸に迫るものがあると思います。
主人公はあくまでも「町役場の女性職員・樋口」なので樋口さんを通して描かれる映画ではあるのですが、日常の中から切り取られた一つの事象から、日常の中に含まれる多くの刺激がどれだけ素晴らしいものか、日常の中に含まれる多くの出会いがどれだけ愛すべきもので、一期一会がどれだけ自分に影響を及ぼしているか、そういったことに気付かせてくれる映画でしょう。
音楽を愛する心が生み出した小さな奇跡は、同じように音楽を愛する我々が「当たり前のように」音楽を愛していることの尊さを教えてくれます。
坂下監督がなぜこの映画の脚本を書く際に「吹奏楽団」を選んだのか、機会があればお伺いしたいと思いますが、監督が作りたかったものが「吹奏楽映画」ではなかったとしても(別に吹奏楽団である必要がなかったとしても)、素晴らしい映画を作って頂いた坂下監督、そして役者の方々を含めたすべてのキャストには感謝しかありません。
僕が吹奏楽を愛する原点を思い出させてくれた映画、舞台に立つ喜びとそのありがたみを改めて教えてくれた映画です。
吹奏楽と吹奏楽団を愛している方も、「なんで吹奏楽やってるんだろう」って疑問に思いながら活動している方も、皆々様、ぜひご覧ください。
大作映画は2時間が当たり前の世界で、75分間という短い時間に愛すべき日常のすべてを凝縮した、素晴らしい作品です。
「吹奏楽愛好家」目線でいちゃもんをつけようと思えばいくらでもつけられるでしょう。ただ上述の通り「吹奏楽映画」ではありません。無粋なツッコミは野暮というものでしょう。
この映画の本質は・・・おっと、これ以上はしゃべり過ぎですね。あとは、皆さん自身で体験してください。
ちなみに、エンドロールはしっかり見ておくと良かろうと思います。
公開されたら今度は劇場のスクリーンで見るぞ!
レビュー:梅本周平(Wind Band Press)
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