【写真たっぷり】プロとしての矜持を見た!広島ウインドオーケストラ第54回定期演奏会(2020/10/24)舞台裏レポート(取材:正門研一)

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 10月24日(土)、広島ウインドオーケストラ(以下HWO)の第54回定期演奏会が開催されました。5月に予定されていた第53回定期演奏会が2021年1月に延期されたこともあり、HWOとしては、昨年11月の「オール・ネリベル・プログラム」以来11ヶ月ぶりということになりました。


プログラム(広島ウインドオーケストラHPよりダウンロード可能です)

 当初予定されていたプログラムを変更して、約1時間の「オール・ジェイガー・プログラム」で開催された今回の演奏会のメインは『交響曲第3番“神のかがやき”』の日本初演(この曲は当初から予定されていました)。ジェイガー本人から日本初演を託されたということもあり(それに伴い改訂されたとのこと。つまり、改訂版の世界初演)、HWOは並々ならぬ想いで臨まれたようです。

 演奏内容等については、後日の配信を楽しみにされている方もいらっしゃると思いますので、ここでは詳述しません。当日どのような準備(特に感染防止対策)を経て開催されたかを中心にレポートいたします。なお、このレポートに執筆にあたりHWOには多大なご協力をいただきました(写真も一部提供いただきました)。

 演奏会当日、団員の皆さんの仕事は会場の準備から始まります。舞台設営については専門の業者さんもいらっしゃいますが、基本的には団員の皆さん全員で準備をしています。

今回は、約1,000人収容の会場で250席(全席指定)を使用することになっていました。
最近は、国の方針でイベントの観客や聴衆人数の制限も緩和されておりますが、新たな基準よりも厳しいものにすることで、できる限り感染拡大のリスクを減らそうという思いも感じられます(多くのお客様に来ていただく方がいい、と誰もが思う中、この決断は相当難しいものだったと思います)。

 使用しない座席には、ホール側が準備されていたカバーが掛けられたのですが、これは団員さんの手によるものです。

 お客様をお迎えする場所、入場口(受付)の設営も団員さんです。

 手指の消毒液はもちろん、ドアの奥には体温を計測する機器も見えますよね。会場は広島市(中区)の施設ですので、演奏会の開催にあたっては施設(自治体)が定める基準に沿って進める必要があります(言うまでもなく)。施設(自治体)側との小まめな調整を何度も繰り返したとのこと。「いつものように!」とはいきませんよね。
ちなみに、消毒液や機器などはすべて楽団自前での調達です。

 接触を極力避けるため、チケットの「もぎり」は来場者自身で、プログラムの手渡しやチラシの配布もありません。

 来場された方にはチケットの半券にお名前と住所を書いていただく必要がありますので、このような準備も(上記写真)。

 消毒液は入口一ヶ所ではなく、ロビーにも置かれています。

 お客様をお迎えするにあたって、このような準備が入念になされていました。

 お客様をお迎えする準備に併せてステージの準備も進みます。

 今回のステージ配置は、8月22日(土)に実施・配信された『広島モデル』の際の配置がベースになっています。限られたスペースでいかに感染リスクを減らすか(特に管楽器からの飛沫については様々な検証が行われていますので、そうした結果等も念頭に)、ということにも配慮がなされています。

 団員さん自身の感染防止対策にも目を向けてみましょう。

 楽屋口には当日のスケジュールや楽屋割に加えて上記のような掲示も(もちろん私も登録しました)。
 楽屋も人数制限付きです。

 楽屋内でも基本的にマスク着用、距離も十分にとっていますよね。

 広いステージ裏でも同様、団員の皆さん十分な距離を確保して準備に臨んでいらっしゃいます。いつもほど賑やかな声を耳にしないのは、団員の皆さんも感染リスクを十分に自覚していらっしゃる証しです(久しぶりの演奏会ですから、緊張感もいつもとは違っていたはずです。そうしたことも背景にはあるでしょう)。

 朝9時の会場入りから様々な準備が進み、楽器の音が聞こえ出したのが11時ごろ。
12時からゲネプロです。

 ステージでは当然マスクが着用できません。ゲネプロ中奏者同士の会話を目にすることはほとんどありませんでした。下野竜也音楽監督の指示、言葉にも一切の無駄がありません(厳しさとユーモアを織り交ぜながらも)。
 14時前にはゲネプロが終了、15時に開場です。

 そして、16時開演。

 久しぶりの演奏会であることに加え、日本初演、感染防止対策と、団員の皆さんの緊張感はいつも以上のものだったはずです。特にこれまでに経験したことのない状況にある中どのように対処するか、そこに「正解」はないのかもしれませんが、感染リスクを極力減らす努力を惜しまず、もちろん一番大切な質の高い演奏を届けることに注力されたHWOの皆さんに改めてプロとしての矜持を見た思いがします。
客席から「贈られた」盛大な拍手は団員の皆さんの心にしっかりと刻み込まれたことでしょう。

 当日の演奏は、10月30日(金)から11月1日(日)の3日間動画配信されます。視聴の申し込みは10月30日(金)23時59分まで。当日演奏された『交響曲第3番“神のかがやき”』のライブ録音を含む特典CD付きのチケットもあります。
詳細は広島ウインドオーケストラのHPでご確認ください。

(取材、文:正門研一、写真:正門研一、広島ウインドオーケストラ)




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