【PR】「WISHでしかできないプログラムを」原点回帰の第20回定期演奏会~WISH Wind Orchestra音楽監督 甲斐誠氏インタビュー






2018/5/10に渋谷で第20回記念定期演奏会を行うプロフェッショナル吹奏楽団、WISH Wind Orchestra。

この節目となる演奏会を前に、演奏会について音楽監督の甲斐誠氏にお話を伺いました。


―20回の節目となる記念定期演奏会の開催おめでとうございます。まずはこれまでを振り返ってバンドやバンドを取り巻く環境にどんな変化があったか、簡単にお伺いできますでしょうか。甲斐:

第1回の定期演奏会は2007年の12月、僕が大学1年生の時に洗足学園音楽大学のメンバーを中心にやっていました。学校の中のサークルとしてやっている感覚が強かったですね。そこから2年間が空いて、次が2009年の5月。元々1回で終わってしまいそうな話だったのですが、高橋徹さん編曲の幻想交響曲の吹奏楽版を収録してほしいという話があって、最終的にはそれはデ・ハスケからCDが出てるんですけども、これが2回目の定期演奏会を開催するきっかけとなりました。せっかくだからじゃあまた集まってやろうよ、という形で幻想交響曲をメインにして2回目の定期演奏会が開催されました。やるなら他の大学のメンバーも、例えば僕も同級生が藝大や東京音大に入ったので、またその辺りにも広げていってみよう、というのが2回目の時ですね。

そこから毎年一年に一回、二回という回数で。元々洗足中心だったのですが他の大学のメンバーも入ってくるようになって、外に出れるようになった、というようなところはまずありますね。

大学を卒業してメンバーがそれぞれいろんなところで活躍しながら、例えば東京佼成ウインドオーケストラとかプロフェッショナルなオーケストラだったりとか吹奏楽団でエキストラで出演するようなメンバーがかなりいて、そういうメンバーがWISHでも演奏してくれています。

若手というかその同世代の、自分ではまだ若手だと思ってますけど、30歳以下の若手が集まって勢いをつけて続けていけてるのではないかなと思っています。

 


―今回の第20回記念定期演奏会のコンセプト、選曲理由についてお伺いできますでしょうか。

甲斐:コンセプトとしては20回という節目の定期演奏会で原点に帰ろうというか、WISHらしいコンサートを提供したいという想いがありました。古くからのクラシカルな作品ですとか、新しい作品もそうですけど、吹奏楽のオリジナルというにふさわしい作品をプログラムしたいなあ、ということで選曲しています。

取り上げる作品については、20回の記念ということもあって長生さんへの委嘱もありますけれども、なかなかWISHでしかできないような、例えば客入りや採算を気にし過ぎてしまうと出来ないような曲ですよね。20回ってどこかお祭りのようなところもあって、WISHでしかできないプログラムを、と考えた時に、まずメインとして、これは5年前からやりたかったんですが、グレインジャーの「戦士たち」をプログラムしてます。

この作品は多分知る限りで行くと昭和音楽大学が2000年代に演奏してCDを出して、それっきりご無沙汰してるんじゃないかなと思います。編成も巨大です。グランドピアノが2台(オリジナルはハープが2台)だとか。それに加えてステージとは違うところで出てくる楽隊があったり、全然違うテンポでステージ上で演奏するとか、一般の吹奏楽曲では味わえないようなサウンドだとか音響効果があります。これはWISHのような任意の団体、まだまだアクティブに動けるような僕らの世代じゃないとできないプログラムだよね、ということで取り上げさせていただきます。

長生さんへの委嘱作品は、これからもずっと使えるオープニング作品と言うような形で依頼をしています。

グレッグソンは、これもやはり編成の大きい作品ですから、エキストラが必要となるような作品だと思うので、WISHのようなアクティブな団体でやろうと。あとはホールが今回から渋谷の方に移って、バルコニー席があるのですが、せっかく会場も変わっているし会場の音響効果を最大限に活かせるような作品も良いな、というところですね。バンダがありますからそれで四方というかステージと後方の右側左側から聴こえてくるトランペットを楽しんでいただければ、と思います。


―今ちょっとお話が出てきたんですけど今回は会場が渋谷ですよね。これまでの川崎から渋谷に会場を移されたのはなぜでしょうか。

甲斐:やはりアクセス面ですよね。

今まで多摩市民館というところでやっていたのですが、ここは内部事情的な話をすると、退館が夜の9時までなんです。その関係で開演時間を6時半にしなければならなかったりとか、プログラム自体も時間を気にしたりとか、制限が多かった。

あとは元々メンバーが神奈川寄りの多摩市民館に来れるような学校を指導していることが割合的に多かったので多摩市民館を利用していたんですが、最近はメンバーもかなり色々な地域で指導をさせて頂くようになって、それぞれのメンバーがお声掛け出来る方が神奈川だけではなくなってきたっていうところがやっぱり大きいですね。どこからでもアクセスが良いようなターミナル駅で開催する方がいいんじゃないか、ということで渋谷に移りました。


―今後も定期演奏会は渋谷で開催されるのでしょうか?

甲斐:そうですね、このまま継続していきたいなと思います。ただ、それでも埼玉からは遠いですし神奈川も広いです。東京の中だけでも横の移動がすごく大変なので、会場もいくつかバリエーションを持っていくのもいいのかな、と考えています。

 


―先ほど少しお話しに上がりましたが、長生淳さんへの委嘱作品について、オープニング・ピースという形で委嘱されたということですが、それ以外にどのようなリクエストをされたのでしょうか。

甲斐:編成自体は通常の吹奏楽の編成という感じで、例えばクラリネットの特殊管はあまり使わないようにするとか、サックスは4本でとか、そういう編成なんですけれども、オープニングということで明るく華やかな作品で、後はグレードはどんなものを書いていただいても構わない、プロが演奏するので難しくても構わない、というような形ですね。


―コンセプトのお話のところでも楽曲についてお話しして頂きましたが、20回定期演奏会で演奏する作品は今の学生にはおそらくなじみの薄い作曲家と作品が後半に並んでいます(剣と王冠、戦士たち)。それぞれについて学生の方に聴いてもらいたいポイントを教えて下さい。

甲斐:「戦士たち」はまず今おそらく学生さんが普段取り組んでいるような吹奏楽の作品のサウンドとは全然違うような吹奏楽の音、というのを体感できると思います。グレインジャーの作品はマレット・パーカッションが多く使われたり、今回もピアノが2台あったりとか、こういう楽器と吹奏楽のサウンドが融合した時に感じられる色鮮やかさというのは他の作曲家では聴けないかと思います。これはぜひ生で体感してほしいサウンドですね。

同じようにオーケストレーションも特徴的で、最近コンクールで演奏されるような作品や流行りの作品とは大きく違います。楽器の音色も活かされていますし、楽器の重なり方も、今まで聴いたことないような音がすると思います。これを体感してほしいですね。吹奏楽ってこんな音がするんだ、と感じられるような作品であると思います。

あとは特殊管が多いので、彼らが活躍する場面もたくさんありますから、普段の部活の木管のチームなんかで特殊管はすごく地味にしているのかもしれないけれど、こういった作品をやるとすごく存在意義のあるパートなんだなぁというのがわかってもらえると思うので、それを楽しんでもらえたら。

「剣と王冠」はドラマチックな作品で、聴いたことがないような方でもバックに物語があるので、それに合わせて聴いていただけると分かりやすいのかなと思います。わりとミュージカルっぽい、劇音楽っぽいようなところがありますし、メロディーもキャッチーですから、初めて聴く方にも「かっこいい」と思わせるポイントがたくさんあります。ぜひぜひこれもまた会場で楽しんで頂きたいですね。


―プレトークやサイン会などの予定はありますか?

甲斐:終演後にWISHメンバー数名のサイン会は予定しています。可能であれば長生さんにもお願いしたいですね。その他、未定ですが新曲についてお話を頂きたいので、長生さんとのプレトークがあるかもしれません。これはまだ検討段階ですね。


―20回記念定期演奏会以降の今後のWISH Wind Orchestraの展望についてお聞かせください。

甲斐:現在、5月にクローズドな芸術鑑賞教室のツアーが予定されています。そういった形で小学校中学校をまわる機会があったりとか、今年度3月の頭には大田区の中学校と一緒にプロジェクトを行いました。(編集注:このプロジェクトについての記事はこちら

そういった学生さん向けに、純粋に音楽を知ってもらいたい。それは課題曲とかそういったものを通してだけではなく、吹奏楽の、それこそ私たちがこれから取り込むオリジナルの作品ですね、今はホルストの第1組曲すら知らない若い方もいっぱいいらっしゃいますから、そういったものを生で聴ける機会を提供していきたいですね。吹奏楽のクラシカルな作品。

例えばベートーヴェンの5番を聴きたいと思ったら一年に何回かコンサートがあると思うんですよ。でもホルストの1組を聴きたいってなった時にプロの演奏会いくつあるのかな、という。フランス組曲なんかもそうですし、イギリス民謡組曲もそうです。そういったマスターピースと呼ばれるようなものがプロのコンサートで聴かれる機会が少ないと思うんですよね。

そういう作品を提供していけるような、ちょっとアカデミックな部分ですよね。これから大人になっていく、吹奏楽をやっている若い人達に「吹奏楽」を伝えていく活動をまず一つの柱としてやっていきたいなと思います。

あとは今回の20回定期演奏会のプログラムを組みながら思いましたが、WISHでしかできないプログラムをやるというのはすごく意義があるなと思います。他所にはできないプログラム。「よくそんなプログラム組んだね」っていうのはよく言われるんです。今回の場合ですと「戦士たち」がそれですね。

そういう作品を取り上げるのは様々な面で大変ですが、でもこういう作品を演奏していくということに私たちのような任意でやっている団体の存在意義というのも見えてくるな、とも思います。そこが二本目の柱になるのかなと思います。私たちにしかできないようなプログラムを演奏していく、というところですね。

(インタビュー・文:梅本周平(Wind Band Press))


以上、いかがでしたでしょうか。「戦士たち」気になりますねえ。ご都合があえば是非足を運んでみてはいかがでしょうか。

演奏会の詳細は以下の通りです。

日時:2018年5月10日(木)19:00開演(18:30開場)
会場:渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
指揮:甲斐 誠(音楽監督)

全席自由:
一般3,000円(Web限定2,800円)
学生1,000円 ※高校生以下(要学生証提示)
※公演後半のみご入場いただけるレイトチケットを、会場にて販売予定です。
※10名以上の団体割引ございます。詳しくはお問い合わせください。

<プログラム>
長生 淳/第20回記念委嘱作品 (演奏時間 約5分)
長生 淳/輝く若葉 (演奏時間 約9分)
エドワード・グレッグソン/剣と王冠 (演奏時間 約16分)
パーシー・グレインジャー(パッパジョン編曲)/戦士たち (演奏時間 約20分)
ほか

チケットのご購入:
WISH チケットストア
チケットぴあ(Pコード:106-426)
イープラス

お問い合わせ先:
WISHWOチケットご案内デスク
070-6941-8858
wish.wind.orchestra@gmail.com




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