イギリス、日本だけでなく世界中で大人気!といった感じのあるフィリップ・スパーク氏(Philip Sparke)の最新作品集が届きましたので、簡単にレビューしてみます。
メインタイトルは日本の泉大津市吹奏楽団の委嘱作品の「干支の舞(Zodiac Dances)」ですが、今回の作品集もスパーク・ファンなら満足できる内容ではないでしょうか。
まず演奏は「イギリス空軍セントラルバンド」。うまいです。相変わらず。なので演奏面でまず安心して購入して良い1枚。
そして収録作品もまたどれも見事な「これだよ!スパークさん!」という待ってました感の強い内容で、大満足できる1枚です。
日本をテーマにした「リフレクションズ ~ある古い日本俗謡による~ ( Reflections on an Old Japanese Folk Song )」、「干支の舞 ( Zodiac Dances )」ももちろん良いのですが、特に今回はコンチェルトに惹かれますね。
「スピリット島の伝説~ユーフォニアムとバンドのための ( The Legend of Spirit Island )」は「ああ、スパークのユーフォニアム協奏曲だなあ」としみじみと感じる、ユーフォニアムの暖かみを存分に感じる美しい作品。ピアノ伴奏判が出たら世界中のユーフォニアム奏者がこぞって取り上げそうです。
そして白眉は「ウインド・イン・ザ・リード~バスーンとコンサートバンドのための ( Wind in the Reeds )」でしょう。
ファゴット(バスーン)のための協奏曲で、吹奏楽伴奏で、これだけファゴットの存在感というか、よく吹奏楽の合奏では無視されがちなファゴットの、楽器としての完成された美しさを引き出したなあ、という印象です。
そうです、ファゴットはこんなに素敵な楽器なんです!このコンチェルト2曲だけでも買う価値ありです。
全体的に「こんなの誰が演奏できるんじゃ、うっひゃあ」というような超絶な作品はないので(イギリス空軍が軽々と吹いているからそう感じるだけかもしれませんが)、スパークのエッセンスをじっくりと聴き込むことが出来ます。
あと忘れてはいけないのがホルストの「セントポール組曲 (St. Paul’ s Suite)」のアレンジですね。原曲は聴いたことがあるんですが、ホルスト好きならバシッとハマる名曲。これをスパークの吹奏楽アレンジで聴ける、演奏できるというのは大きいですよ。
リスニング専門の方にも、定期演奏会などの曲目を探している方にも、どちらにマッチする理想的なカタログ盤ですね。
レビュー:梅本周平(Wind Band Press)
商品詳細は以下の通り。
品番:AR 032-3
メーカー:Anglo Records
演奏:イギリス空軍セントラルバンド(The Central Band of the Royal Air Force)
指揮:ダンカン・スタッブス(Duncan Stubbs)
収録内容:
1. スピリット・オブ・アンダルシア ( Spirit of Andalusia )
2. 友情の詩(うた) ( Song of Friendship )
3. リフレクションズ ~ある古い日本俗謡による~ ( Reflections on an Old Japanese Folk Song )
4. ウインド・イン・ザ・リード~バスーンとコンサートバンドのための ( Wind in the Reeds )
バスーン・ソロ:クリストファー・ジェームス (Christopher James)
5. 天国への道 ( The Way to Heaven )
6. スピリット島の伝説~ユーフォニアムとバンドのための ( The Legend of Spirit Island )
ユーフォニアム・ソロ:ルイス・マッサン (Lewis Musson)
7-10. セントポール組曲:グスターヴ・ホルスト
11. イン・メモリアム-戦死者のために ( In Memoriam: For the Fallen )
ナレーター:マシュー・リトル (Matthew Little)
12. 干支の舞 ( Zodiac Dances )
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