Wind Band Pressを運営するONSAが新しく吹奏楽・室内楽を中心とした楽譜出版事業「Golden Hearts Publications」の運営を開始






こんにちは。Wind Band Press編集長の梅本です。

すでにプレスリリースを流していますが、表題の通り、Wind Band Pressに続く新しい事業を「Golden Hearts Publications」を開始しましたのでご案内させて頂きます。

Wind Band Pressともども、どうぞよろしくお願い申し上げます。


吹奏楽・管打楽器の情報サイト「Wind Band Press」の運営や経営・販促コンサルティングを行うONSA(所在:広島県広島市、代表:梅本周平)は、7/13(木)に新規事業として吹奏楽や室内楽の楽譜を出版する「Golden Hearts Publications」の運営を開始、同日にオンラインストアをオープンしました。

■事業開始のきっかけ

近年、日本では、吹奏楽譜をメイン商材とした「何か新しいことをしよう」という意欲に満ちた新しい出版社もいくつか生まれており、既存の出版社もそれぞれ「何か新しいこと」を模索しているように思えます。

しかし、そうは言うものの、新興も既存の出版社も含め、「邦人作曲家の作品」かつ「全日本吹奏楽コンクール自由曲向け」の作品に取り扱いおよびプロモーションが偏重している傾向があります。(室内楽の場合は「アンサンブル・コンテスト向け」の作品となります。)

これはそこに需要が集まっている以上当然の施策です。

また、コンクールそのものが悪というわけでもありません。

全日本吹奏楽コンクールがやアンサンブル・コンテストがあったからこそ日本の吹奏楽は独自の発展を遂げたと考えるべきでしょう。

コンクールの隆盛の中で特にスクールバンドに注目が集まり、20年前に始まった「響宴」や、さらにはそれ以前に開催されていた「吹楽」などの活動の結果、今の日本の吹奏楽の環境が整ったということだと考えます。

それらは決して良い悪いではなく、発展の結果なのです。

一方で、海外に目を向ければ、今なお数多くの個性豊かで質の高い作品が生まれ続けています。

しかし現在の国内の需要が特にコンクール自由曲、邦人作品に傾いている中では、輸入楽譜の取扱店も海外出版社の在庫を多く持つことは難しくなっています。

お取り寄せの場合でも、すぐに納品される楽譜もあれば、1か月ほど待たなければいけない場合もあり、納期は様々です。

その結果、演奏する側としても海外の楽曲を聴く機会も減り、コンクール自由曲や演奏会の選曲の候補にも入れにくい側面があると考えられます。

「音楽に国境はない」とは使い古された言葉ではありますが、実態として自分たちの側で壁を作ってしまう、作れてしまう状況にあるわけです。

そのような状況下で、あらためて国境を無くす、日本も海外も関係なく同じように情報を扱うことを目的のひとつにして、ONSAの屋号で私は開業し、吹奏楽・管打楽器の情報サイト「Wind Band Press」の運営を開始しました。

ある時、Wind Band Pressを始める以前からFacebookを通じて知り合っていたベルギーの作曲家、ディートリヒ・ヴァンアケリェン氏(Dietrich Van Akelyen)から「日本で私の吹奏楽作品をプロモーションしてくれる出版社はないか」と相談を受けました。

▲Dietrich Van Akelyen

非常に難しい相談でした。

国内の出版社が、ただでさえ多くの邦人作曲家の作品を抱える中で、日本では無名に等しい海外の作曲家の作品をプロモーションする余裕は、それほどないでしょう。

しかし氏の作品は大変ユニークで質が高く、なんとかして彼の「日本で演奏されたい」という願いをかなえるために力添えをしたいと考えました。

またWind Band Pressの運営を通じて多くの海外の作曲家と知り合うなかで、彼らが自分の作品が海を渡り日本で演奏される、ということに強い関心を抱いていることも分かりました。

海外では大手出版社に作品を預けず個人出版社を立ち上げたり自費出版を行う作曲家も増えており、国内代理店ではそういった作品を扱うところは多くありません。(作曲家側が代理店を通さないスタイルを取っている場合もあります。)

そこで、このような、様々な個性やスタイルを持つ多くの海外の作曲家の作品を国内で代理印刷しプロモーションすることで、国内の作編曲家にも新しい刺激を与え、将来の作品の質の向上に貢献するとともに、演奏者側においても選曲の幅を広げて頂けるのではないかと考えました。

輸入ではなく国内で印刷する権利を得ることで、少しでも安く、早く、安全に楽団に楽譜を届けることが可能になります。

もちろん「今は海外がホリデー・シーズンだから出荷されない」という国ごとの休日による遅配の問題も解消されます。

この点について多くの海外の作曲家に尋ねたところ、多くの反応があり、契約を交わし終えた海外の作曲家が現在のラインナップとなっています。

また日本国内の作・編曲家の作品でも、上述のように主な需要が「全日本吹奏楽コンクール」や「アンサンブル・コンテスト」であることから、良質な作品にも関わらず需要と合致しないなどの理由で出版に至らない、または出版社の十分なバックアップを受けられない作品もあると思います。(バックアップを受けられないわけではないです)

そうした日本国内の作品についても、コンクール向きかそうでないかに関係なく、シンプルに良質な作品を取り上げプロモーションすることで、国内の出版社に刺激を与えられるのではないか、もっと業界を活性化できるのではないかと考えました。

さらには、少子化の影響で団員数も少なくなっている楽団が多い昨今、邦人作曲家・編曲家の海外への進出を強化し、コンクール以外の新しいビジネスチャンスを探し求め、より彼らにとっての創造的な活動の場を獲得し、文化の発展に尽力していくべきであろう、という結論に達しました。

こうしてWind Band Pressに加えて新たな事業として「Golden Hearts Publications」が誕生したのです。

まだ企画段階の事項も多いですが、実現したいことは山積みです。

皆様のご支援を、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 


■楽譜へのこだわり

Golden Hearts Publicationsでは、吹奏楽のフルスコアに以下のようなこだわりを持って製作をしています。

【1】照明の反射を低減し、読みやすい楽譜にすること

【2】楽譜のサイズを大きくし、読みやすい楽譜にすること

【3】リング製本であること

【4】オンデマンド注文に対応していること

まず【1】についてですが、蛍光灯にしても舞台照明にしても、紙に光が反射することで指揮者の集中を妨げるような楽譜にはしたくないと考えました。

その結果行き着いたのが、「ビオトープ」と呼ばれる紙です。

この紙を常備している印刷会社はほとんどないようです。

あまり楽譜では使用されることのない紙ですが、クラフト紙のしっかりとした感触と強度を持っています。

紙の色も、目に優しいナチュラルホワイトを選んでいます。

実際の写真はこちら。背景の白い紙は普通紙です。

この用紙を使うことにより、従来の楽譜にはなかった照り返しの低減、目への優しさを実感していただけるかと思います。

よりスコアに集中出来る用紙であると考えています。

表紙にはマットポストを使用しています。(背景の白い紙は普通紙です。)

次に【2】楽譜のサイズについてですが、国内の吹奏楽出版社の出版譜(販売譜)の場合、フルスコアはA4であることが多かったかと思います。

(海外の出版譜のスコアで大判スコアというものはたまに見かけます。)

実際にA4サイズ仕上がりの冊子というのは、ほとんどの印刷会社が対応していますし複合機を使って社内でも簡単に作れます。

しかしながら、見づらい。

特に吹奏楽指導の場合、編成が特に小さく段数が少なくない限りは、A4でフルスコアを読むのはなかなか苦しいのではないでしょうか。

知人の指揮者にも意見を求めたところ、A4サイズのフルスコアを団にB4やA3に拡大コピーしてもらって使用しているというお話をお伺いしました。

それが私的な複製であれば問題ないかもしれませんが、楽団として使用する場合、例えばJASRAC管理楽曲であればJASRACに複製手続きが必要です。(お金も必要です)

海外の場合でJASRACと提携していない場合はやはり個別に許諾が必要です。

勝手に拡大コピーして良いものではありません。

そこでGolden Hearts Publicationsでは、フルスコアはA3かB4を選択できるようにしました。

これであれば初めから必要なサイズを選ぶことが出来、わざわざ拡大コピーする必要はないわけです。

(一部作曲者の希望によりA4サイズのものもあります)

しかしこのサイズはどうしても高価になってしまいますので、勉強用や選曲用にスコアを購入したい方に向けて、B5判のポケットスコアをご用意しました。

A4サイズだとカバンに入らないこともありますが、B5であれば持ち運びも容易ではないかと思います。

もちろんA4よりも小さいですので、指導用、指揮用としては実用的ではないサイズです。

次に【3】リング製本についてですが、製本には様々な方法があります。

その中でもリング製本は180度開けるため、指揮者台に楽譜を置いて使うには最適な製本方法です。

ただし、A3長辺のリング製本が出来る会社はほとんどありません。

またリング製本についてあまり詳しくない(けど対応はしている)会社ですと、ページをめくったとき紙が重なってしまうなど、仕上がりに問題が生じます。

ですので、これも会社を吟味しなければいけません。

最後に【4】オンデマンド注文に対応していることです。

これは経費の問題もさることながら、楽譜の状態を一番良い状態で出荷することを目的としています。

確かに大量ロットで製作をすれば、少しは単価が抑えられます。

しかし上記の仕様の場合、そのロットはだいたい100冊くらいです。

毎月100冊売れる楽譜であればまだ良いのですが、なかなかそのような楽譜はありません。

となると、相当保存状態に気を付けないと、どうしても商品はダメージを受け、劣化していく可能性も考えられます。

そこで、1冊から制作を請け負っていただける会社を探す必要がありました。

まず上記【1】~【4】の仕様や条件を実現するために、
私は日本全国100社以上の印刷会社や製本会社をあたり、交渉をし、試作も重ねました。

その中で最も安く、最も高品質で楽譜を作成していただける会社と提携し、印刷・製本を外注しています。

リング製本はA4サイズのリングを2つ使用しますが、穴の位置に十分な余裕があり、ページをめくっても紙が重なりにくくなっています。

実際の写真はこちら。


■フルスコアとパート譜のセットに含まれるパート譜の数とパート譜のバラ売りについて

20人またはそれ以下のバンドが増えてきている昨今、30人、40人、50人といった編成を標準としてセットを作成する必要もありません。

人数の少ないバンドにとって、パート譜が多く価格が高いというのは無駄でしかありません。

そのため、Golden Hearts Publicationsのセットでは、原則として1つのパートスコアを1部(div.がある場合は2部)しか入れず、少しでもセット価格が安く収まるように設定しています。オプションパートはセットに含まれません。

人数が多く、追加でパート譜が必要なバンド向けに、パート譜のバラ売りをしています。

商品ページに、セットに含まれる部数を表記していますので、それを見ながら、バンド側のご判断で、不足のあるパートについては追加パート譜を同時にご購入いただけるようにしています。(ただし作曲家によっては例外があり、部数の指定がある場合があります。)

ちなみに、パート譜についても少しだけこだわっていて、目に優しい色上質紙のアイボリー色を使用しています。特厚口と呼ばれる暑さで、110Kgくらいの厚さです。

実際の写真はこちらです。


■現時点での契約作曲家

スーユー・ホァン(黄思瑜:Ssu-Yu Huang)(台湾)


クリスティアーン・ヤンセン(Christiaan Janssen)(オランダ)


ジンジュン・リー(Jinjun Lee)(シンガポール)


ブライアン・サドラー(Brian Sadler)(アメリカ)


ピート・スウェルツ(Piet Swerts)(ベルギー)


ディートリヒ・ヴァンアケリェン(Dietrich Van Akelyen)(ベルギー)


■運営者について

運営を行うONSA代表の梅本周平は、1979年名古屋生まれ。

東京都立の高等学校を経て、中央大学文学部教育学科心理学専攻卒。

高校・大学と吹奏楽部に所属。演奏会の運営責任者や広報などに携わる。

大学卒業後は事務機器を扱う会社に就職、法人の代表者への新規営業を担当。

その後コールセンターへの転職を経て、吹奏楽関連の会社に転職。CD・DVD・楽譜などを扱うネットショップの運営、販促、および演奏会収録の営業、商品・サービスの企画提案および実行を担当。

その後、同じく吹奏楽関連を主事業とするメーカー/出版社に転職。ネットショップ、ブログ、企業サイトなどのウェブ制作、運営、販促・広報全般を担当。

退職後は様々な業種のweb担当者として渡り歩き、ネットショップ運営、リスティング広告用のテキストやバナー作成などを含めた販促業務に携わり続ける。

2014年に再び吹奏楽関連の会社に戻り、ネットショップの販売促進、ページ作成、取り扱い商品の追加・選定、メーカー・出版社との交渉、広報、ブロガー、レビュワー、数値分析などを担当。

2016年に起業し、吹奏楽・管打楽器の情報サイト「Wind Band Press」の運営を開始。同時に企業の販促コンサルタントも行う。三級知的財産技能士。


 

以上、お知らせでした!

まだ作品がそんなに多くないうちに、ぜひ一度じっくりとご覧になってください。

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