【エッセイ】ユーフォニアム奏者・今村耀の『音楽とお茶の愉しみ』3






 

埼玉県入間市を拠点に幅広く活躍されているユーフォニアム奏者の今村耀さん。

紅茶好きでもある今村さんが『音楽とお茶の愉しみ』をテーマに徒然と語るエッセイです。

ごゆるりとお愉しみ下さい。


お正月が終わり、本格的な受験シーズンの始まり。最後のセンター試験をこえて、これから本格的に入試がはじまるという人もたくさんいることでしょう。まさにいま、私はそんな生徒のために音楽理論の問題を量産中なのです。

音楽大学の受験と言えば、文系科目に音楽理論、新曲視唱・視奏、ソルフェージュ課題、聴音、専攻実技、副科実技あたりが一般的な試験内容。
私は先に挙げた副科以外の全ての内容をみているわけですが、あと半年で高校卒業だね~なんていう話をしているときに、「音大目指すことにしました!」なんて言われて、大慌でレッスン回数をものすごく増やし、私も生徒も本当に必死になるという経験も…

ちゃんと文章読めますか。

結局、問題文にある指示を正確に読み取れなければ答えなんて書けっこないので、なにをどのようにどうやってね。というのを、まずは読めるように。そんなのあたりまえ!そう思うかもしれないけれど、読解力や理解スピードというのは何もしないで手に入るものではないので、普段から色々な読み物に触れるとか、独特の決まりがある事柄に関しては、対応するものに取り組まなければ、サッと思考を働かせるのは難しくなるでしょう。

この譜面の調性を判定し、属調の平行調の同主調に移調して調号を用いて書け。

音楽理論でわかりやすい問題だとこんなものとか。もし調判定の結果がCdurならば、属調Gdurの平行調emollの同主調Edurに移調して書くということ。謎の単語のオンパレード。意味を知らねばできないよ!の典型なのかなと思います。

問題を延々と作り続けるというのは、同時に解いていることもあり、体力的にも精神的にも消耗して集中力が無くなってきますから、やっぱりやってくるのがお茶の時間。

お茶にはリラックス効果があるというのは有名な話ですが、緑茶に含まれるカテキンには抗酸化作用や血糖値の上昇を抑える効果もあり、美味しく飲みながら体調も整えられるのがうれしいところ。カテキンはお茶の苦み成分のひとつなので、一度に多めに摂取したければ熱めのお湯で淹れて渋く濃い味で楽しむのもコツのひとつ。逆に、一度沸かしたお湯を軽くさまして60~70℃くらいで淹れてあげると苦みを抑えた爽やかな香りとやわらかい味を楽しむことができます。

緑茶を飲むならやっぱり、地元入間市の名産品「狭山茶」にするわけですが、高音の火入れにより、香り高くお茶の味わいが増していて、やっぱりこれだよね。の一言。今日は少し熱めに淹れて渋くする代わりに、甘めのお菓子で宇治市の栗饅頭とセットでいただくことにしました。

この栗饅頭もユーフォニアムというワードにはぴったりとはまるお菓子で、とある高校生が先輩のお家を訪ねたときに持参したという逸品。お茶とお菓子の組み合わせはとても大切で、できれば茶器もあわせていくとより楽しめてリラックスしてすっきりした気持ちになれる。そんな気がします。

色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす。

すっきりしたところで、模擬テストを作りに入ります。なんだって、やって損はない!やらない後悔より、やりきって後悔。自分に負けるな受験生。


優雅な時間を過ごしていただけましたでしょうか。次回もお楽しみに。

今村さんのTwitterアカウントはこちらです。
(@euph_yoh)
https://twitter.com/euph_yoh

今村さんには以前にWind Band Pressでインタビューも行っていますのでそちらも合わせてどうぞ。
https://windbandpress.net/12419


※この記事の著作権は今村耀氏に帰属します。


【今村耀 プロフィール】

埼玉県入間市出身。埼玉県立芸術総合高校音楽科卒業。成績優秀者卒業演奏会に出演。日本大学芸術学部を経て尚美ミュージックカレッジ専門学校コンセルヴァトアールディプロマ科を修了。大阪国際音楽コンクール部門最高位他、多数受賞。 2015年「ニコニコ超パーティー2015」出演。2016年日本ユーフォニアム・テューバ協会会報にダブルベルユーフォニアムの演奏が掲載。ヤマハ演奏支援アプリ≪ふこうよアンサンブル~北宇治高校吹奏楽部へようこそ~≫(響け!ユーフォニアム)開発に演奏提供。2017年2月に同アプリVer.2と書籍第二弾のリリース記念イベントにてオープニングアクトとユーフォニアム独奏によるデモンストレーションを担当。YAMAHA・AI合奏システムと国際イベント「デジタルコンテンツエキスポ2017」で共演。地元・入間市民吹奏楽団の定期演奏会にソリストとして出演。2018年吹奏楽雑誌「Wind-i mini vol.39」巻頭インタビュー掲載。ユーフォニアムなどの金管楽器の個人指導から吹奏楽指導、楽器講習会講師もおこなっており、メディア出演も多く、希少価値の高い古楽器演奏者としても話題を呼んでいる。ASKS Windsより編曲譜出版中。 Ensemble PETS、小江戸ウインドアンサンブル、moiphics、ですカル!各メンバー。




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