フォンテック株式会社様から5/9発売の伊藤圭さんのCD「Reveusement レヴーズマン 藍の歌」が届きましたので、簡単にレビューしてみようと思います。
まず伊藤圭さんって誰だろう?という方もおられるでしょうから簡単にバイオを。
伊藤さんは宮城県出身。2001年に東京藝術大学を卒業しています。
2002年JILA音楽コンクール室内楽部門第1位。2004年第6回日本クラリネットコンクール第1位。
これまでにクラリネットを千石進、日比野裕幸、野田祐介、山本正治、三界秀実、村井祐児の各氏に、室内楽を岡崎耕治、四戸世紀の各氏に師事。
藝大フィルハーモニア、東京都交響楽団を経て、2011年5月1日にNHK交響楽団に入団。歴史ある同団の首席クラリネット奏者です。
NHK交響楽団の歴代の首席クラリネット奏者の方々もCDをリリースされたり退団後も八面六臂の活躍をされていたりと、まあ凄いポストに現在就いておられる方なのですけど。
この「Reveusement レヴーズマン 藍の歌」も、「さすがN響の首席・・・」と唸らざるを得ない内容のCDでしたね。
収録曲はすべてフランスの作品なのですが、テクニックはもちろん音楽も非常に深みがあり、これといって何の不満もない、ただただ楽しめるスゴ盤。フレンチとの相性も良いのかもしれませんね。
何か強い特徴があるとしたら、やはり「力強さ」でしょうかね。
例えばプーランクのソナタなんかはクラリネット愛好家ならアマチュアでも演奏してみたこともあるかもしれないほど定番の、多くのプロ奏者がレコーディングしているクラリネット史上に燦然と輝く名作品ですが、凄くオシャレな作品なので、オシャレに決めようと思えばオシャレに決められる作品ではあると思うんですよね。優男風というか。
ただ伊藤さんの場合は音が力強いので、メリハリがバキバキッとしていて、「気は優しくて力持ち」(それはドカベン)みたいなプーランクに仕上がっていたりするところが面白かったですね。
フレンチなんですけどドイツ的な感じもそこはかとなく感じる。そんな厚みを感じるのは、「表情豊か過ぎ」ではないところも関係しているかもしれません。質実剛健な感じがありますよね。淡々と作品と向き合うというか。指揮者で言うとゲルギエフ的なアプローチ。「アニキ!」って感じがします。(どんなん)
収録されている他の作品も、ドビュッシー、サン・サーンスなどクラリネット愛好家には定番の作品なので聴き比べも楽しいですし、クラリネット愛好家でない方にもきっと「クラリネット楽しいな、クラシックっていいなあ!」と思って頂けるような作品と演奏が収録されています。
クラリネット愛好家の皆様、ぜひ「1枚は自分用に、1枚は非愛好家へのプレゼント用に」、計2枚、お買い上げください(笑)
その価値あるね。ある。
ちなみにリピート再生していても、最後に収録されているトマジから最初のドビュッシーへの流れが自然で、CDとしてのプログラミングも見事です。終わりのない演奏会。
★こちらの商品はWind Band Pressと同じくONSAが運営するセレクトショップ「WBP Plus!」でお買い求め頂けます!
レビュー:梅本周平(Wind Band Press)
商品詳細は以下の通り。
▼メーカーより
「芯が強く目の詰まった響きのサウンドに輪郭のしなやかさと透明感が同居を遂げ、息長く持続される歌のラインでも急速な技巧的走句でも、個々の音符が見事に表面張力を保ちながら肩を寄せ合う。耳に飛び込むパッセージ・ワークは心地よくも安定度が高い。」(木幡一誠・ライナーノーツより)
2010年よりNHK 交響楽団で首席クラリネット奏者の重責を担う伊藤 圭。日本最高峰のオーケストラの木管セクションの要として、ひときわ大きな存在感を示す稀有な才能によるファースト・ソロ・アルバムの登場です。
満を持しての渾身の一作で伊藤が選んだのは、クラリネットという楽器にとって重要なレパートリーが数多生み出された近代フランスの作品たちです。その圧倒的な技術的安定感に裏打ちされた明晰で繊細な音色は、深い藍を想起させます。各曲がもつキャラクターの違いや美しさが自然と感じられる演奏は、決して押しつけがましくならず、枯淡の境地といえるものです。
まさにReveusement(夢みるような)一枚・・・ご堪能下さい。
品番:FOCD9780
定価:¥2,800+税
発売日:2018/5/9
メーカー:フォンテック株式会社
演奏:
伊藤 圭(クラリネット)
冨田 珠里亞(ピアノ)
収録内容:
1. クラリネットのための第1狂詩曲:クロード・ドビュッシー [8:15]
Premiere Rhapsodie pour Clarinette : Claude Debussy
クラリネット・ソナタ Op.167:カミーユ・サン=サーンス
Sonate pour Clarinette et Piano Op.167 : Camille Saint-Saens
2. I. Allegretto [4:08]
3. II. Allegro animato [2:07]
4. III. Lento [4:12]
5. IV. Molto allegro-Allegretto [5:17]
クラリネット・ソナタ FP184:フランシス・プーランク
Sonate pour Clarinette et Piano FP184 : Francis Poulenc
6. I. Allegro tristamente [5:36]
7. II. Romanza [5:16]
8. III. Allegro con fuoco [3:10]
9. アラベスク:ジェルメーヌ・タイユフェール [2:42]
Arabesque : Germaine Tailleferre
10. サラバンドと主題、変奏:レイナルド・アーン [6:21]
Sarabande et Theme Varie : Reynaldo Hahn
クラリネット協奏曲:アンリ・トマジ
Concerto pour Clarinette Si b et Piano : Henri Tomasi
11. I. Allegro giocoso [8:14]
12. II. Nocturne : Scherzando [4:33]
13. III. Scherzo Final : Subito allegro [5:23]
収録:2017年5月17-19日, 富士見市民文化会館 キラリ☆ふじみ
Recording: 17-19 May. 2017, Fujimi citizen culture hall KIRARI FUJIMI
★こちらの商品はWind Band Pressと同じくONSAが運営するセレクトショップ「WBP Plus!」でお買い求め頂けます!
協賛
その他Wind Band Pressと同じくONSAが運営する各事業もチェックお願いします!
■楽譜出版:Golden Hearts Publications(Amazon Payも使えます)
■演奏会の企画やチケット販売その他各種ビジネスのお悩み相談やプレスリリース代行依頼もお受けしています!
様々な経験をもとに、オンラインショップの売上を上げる方法や商品企画、各種広報に関するご相談、新規事業立ち上げのご相談など承ります。初回相談無料です。そのほか、プレスリリース代行などの実務作業も承ります。よろずご相談下さい。
▼人気の記事・連載記事
■プロの指揮者・岡田友弘氏から悩める学生指揮者へ送る「スーパー学指揮への道」
■有吉尚子の【耳を良くする管楽器レッスン法】~ソルフェージュ×アレクサンダー・テクニーク~
■【エッセイ】ユーフォニアム奏者・今村耀の『音楽とお茶の愉しみ』
■石原勇太郎の【演奏の引き立て役「曲目解説」の上手な書き方】
■石原勇太郎エッセイ「Aus einem Winkel der Musikwissenschaft」
■音楽著作権について学ぼう~特に吹奏楽部/団に関係が深いと思われる点についてJASRACさんに聞いてみました
■【許諾が必要な場合も】演奏会の動画配信やアップロードに必要な著作権の手続きなどについてJASRACに確認してみました