「とにかく新しいもの、今までにないものを」 インタビュー:東京音楽制作合同会社 代表 細木原豪紀さん






2016年1月より法人として本格的に活動を開始し、CD制作・楽譜制作・映像制作・著作権管理等の音楽制作業務を行っている「東京音楽制作合同会社」。

吹奏楽コンクール自由曲CDや「あきすい」のCDでもおなじみですね。

今回は代表の細木原豪紀さんにお話をお伺いしました。


―本日はお忙しいところありがとうございます。まずは、会社設立のきっかけからお伺いしたいのですが。

元々は会社を設立する予定はなかったのですが、1作目のCD「ハガニア・プレリュード」を収録した後にユニバーサル様からCDの流通をユニバーサル様にお任せするお話を頂いて、それがきっかけで法人化することになりました。

ユニバーサル様とお取引をするのに法人化したほうが良いだろうということで、1週間ほどで急ピッチで法人化しました。

それまでの1年間は個人事業で映像制作や雑誌制作のお手伝いなどを行っていました。

その1年間は「どうしようかな」って色々悩んでいましたね(笑)

―細木原さんは「東京音楽制作」を始める前、またその前に企業で働く前は作曲家としても活動されていましたよね。

そうですね。Shiningに入ってました。(注:若い作曲家による作曲家集団)

その後、大学卒業と同時に就職をして、3年ほど働いたところで会社を辞めました。

―作曲は誰に師事されたんですか?

僕は音大には行っていなくて、早稲田大学だったんですけど、伊佐治直さんに半年ほど、って感じですね。

―その後就職されたわけですね。作曲一本でやっていくつもりはなかったんですか?

それはなかったですね。売れるような曲も書けないですし。

―今では作曲は・・・

編曲などは必要に応じて行いますが、ほぼ作曲家としての活動はしていませんね。肩書だけです(笑)

―どちらかというと経営者のほうにバランスが動いているという感じですね。

そうですね。作曲家出身の経営者という感じですね。

―会社のサイトを見ると、大きいバナーのところに「新しい音楽を作ろう。」というメッセージが掲げられているのですが、企業理念などはありますか。

基本的にはサイトにもある「新しい音楽を作ろう。」が全てですね。

新しい曲でも新しいメディアに対する音楽でも、とにかく新しいもの。今までにないものを、というイメージです。

まだそこまでは出来ていませんが、それを目指して努力しているところです。

―まだ現時点では会社も設立から1年経っていないですが、1年やってみて、どうですか?

自分のペースでやりたいことをやるようなスタンスなので、会社員時代に比べると気楽になりましたね。

あとは法人にしたことで、面白い大きな案件を頂くことがありました。

たとえば「ハルチカ」(注:アニメ「ハルチカ~ハルタとチカは青春する~」)なんかがそうです。「あきすい」で営業をかけたら「吹奏楽協力」という感じのお仕事をランティス様から頂いて。

―なるほど。ちなみに作曲家ではなく経営者として、現在の吹奏楽業界をどのように捉えておられますか?

少子化が進んで駒が小さくなったところに対して、どのようにアプローチすべきか、というのがまず一つ課題としてあります。

もう一つは、吹奏楽がメディアに取り上げられるようになってきたので、新しい魅力をどうやって一般の方に対して見せていくのか、というのが課題かな、と思います。

楽譜に関しては出版社も乱立していますし、縮小傾向にあるのではないかと考えています。

会社としては、吹奏楽をベースにしながらも、吹奏楽以外のジャンル、クラシック以外のジャンルでも事業を進めていきたいと考えています。

実は、実現するかどうか分かりませんが、いわゆるJ-POPのCDも作ろうと企画しているところです。

―面白い展開ですね。

もうなんでもありですね(笑)

やれることはなんでもやろうと。

―色々な事業を展開されていますが、いま一番力を入れていきたい事業はどれになるのでしょうか。

一番やりたいのはCD制作ですね。

特に楽譜とは関係ない、カタログ盤ではないCDを作りたいです。

―今後展開予定の別事業などはあるのでしょうか。

著作権の権利関係をちゃんとしたいというか。

アレンジにしても何にしても、もっと気軽に扱ってもらいたいと思っていて、面白い楽曲をもっと演奏できるようにするために、アレンジャーや楽団が気軽に相談できるような窓口を作りたいと考えています。代行も含めてですね。

―最後になりますが、将来の展望などお聞かせ願えますでしょうか。

テレビやアニメの制作にもっと関わりたいですね。劇伴などだけでなく全般的に関わっていきたいです。

私自身が浅く広くの人間なので(笑)、音楽に関することならなんでも出来るよ、相談してよ、やれることはなんでもやるよ、という感じですね。

そういったことをやりつつ全く新しい概念のようなものを生み出したいですね。

例えばクロスオーバーのコンサートだったりとかCDとかにつなげていけると面白いですよね。総合エンターテインメント企業のような感じですね(笑)

(最後と言いつつこの後もお話は続く・・・)

―いやいや意外でした。吹奏楽専業でやられていくのかと思っていましたので。

いやいや(笑)私はそんなに吹奏楽経験も長くないんですよ。大学も管弦楽でしたし。

―そうなんですか?吹奏楽を始めたのは高校くらいから?

いえ、小学校からです。

―長いじゃないですか!

ははは(笑)

―楽器は何をやられていたんですか?

色々とたらい回しにされて、金管全部と木管をちょっとですね。だから作曲出来たというのもあるかもしれません。

吹奏楽だけじゃなくて色々な世界を見ておいた方が楽しいだろうなってことで高校生の時も管弦楽に参加していたりしていましたね。

会社としてもそういう感じで幅広く行って、それを吹奏楽業界に還元出来たら良いのかな、と思います。

吹奏楽の現代音楽もやりたいですね。

 


インタビュー・文:梅本周平(Wind Band Press) 2016.11.18.


この後もさらに楽しい雑談が続き、貴重なお時間を頂いてしまいました。細木原さん、ありがとうございました。

まだ設立から1年未満の若い会社ですが、細木原さんの「色んなことをやりたいんだ!」という熱が伝わってくるインタビューでした。

今後の展開に期待大ですね!

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http://tokyo-music.net/


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