「私は作曲家になろうとは思っていませんでした」 作曲家スティーヴン・メリロ氏(Stephen Melillo)インタビュー

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「ゴッドスピード!」などで知られる作曲家スティーヴン・メリロ氏(Stephen Melillo)にメールインタビューを行うことができました。

知らなかった事実が次々と飛び出す面白い回答を頂けましたので、ぜひ楽しんでお読みください。

また、原文の英語も日本語版の後に併記しますので、英語で直接読みたい方はそちらでお楽しみ頂けます。

※誤訳等ございましたらこちらのフォームからお知らせいただければ幸いです。


1. 作曲家になろうと思ったきっかけを教えてください。

もともとは、私は作曲家になろうとは思っていませんでした。

ボストン音楽院とコロンビア大学の私の学位は、音楽教育です。それ以前は、コネチカット大学の物理学専攻でした。

私は自分の人生で「可能な限りの最高の教師」になろうと思いました。

この「最高の教師」であるために自分に課した基準として、私はボストンの質屋で楽器を購入し、ボストン交響楽団の奏者に個人的に師事して、それぞれの楽器の演奏について学びました。

楽器をうまく演奏する以外に、指揮者と楽譜解釈者になる最良の方法は、自分でスコアを書くことだったという結論に達しました。

この方法で、私は作曲家がそれを見ているように、与えられたスコアを「裏返し」から見ることを学びました。

楽器の演奏の知識が豊富で、ボストン交響楽団の奏者にいつも彼らが演奏して楽しいものを求めていたので、私は自身で「交響曲」と呼んだものを作曲するのに3年間を費やしました。

3年後、私はジャズ・アンサンブル、ハープ、ギター、シンセサイザーを含んだ大きな吹奏楽のための、9楽章、70分の作品「Only for Now」を書いていました。

そして、これは1979年のシンセサイザーの登場でした。

その1曲目を作った後、私は休息するために作曲のアイデアは一旦置いておき、教師として前に進もうと思い、それを実行に移しました。

しかし、私が公立学校に入ったとき、予算は非常に少なく、学生奏者のニーズは非常に特殊だったので、私は彼らのために作曲する必要がありました。

例えば、「Stormworks」という作品は、私の高校バンドのために書かれたものです。

「Only for Now」は1148作品前です。私は書き続けました。仏陀は「あなたは自分の考えたものになる」と言っています。

確かに、私は作曲家になっていました。それは私がこうして生きて、夢見て、考えていたからです。

2. 日本では「ゴッドスピード!」が特に人気です。この曲を作曲した背景(または理由)や演奏する際の重要なポイントについて教えてください。

まず、「ゴッドスピード!」はひとつの表現です。「安全な旅をしてください」、もしくは「May God speed you!」という意味です。

宇宙飛行士が1969年に月に出発したとき、「Godspeed!」の願いが捧げられました。私は11歳の時にこれを聞きました。

イングランドからアメリカに渡った最初の船は「Godspeed!」と名付けられました。それはしばしば海軍で使用されます。

さらに、私は高校時代から多くの全ての手紙にこれを署名しました。私は1975年に卒業したので、あなたは私がこれを数十年もやっていることがわかるでしょう。

アメリカ海軍は、皮肉なことに、演奏したことのない作品を書くように私に求めました。それが「ゴッドスピード!」でした。

オランダ海軍の海兵隊バンドの指揮者であるモーリス・ハマースが、彼らが演奏したことがないと聞いたとき、彼はその作品を録音し、「STORMWORKS Chapter 3 CD: WAIT of the WORLD」で公開することに決めたのです!

技術的には、特に、内部の仕組みを知っている場合は、多くのバンドにとって便利ないくつかの戦略的なオーケストレーションがあります。

例えば、単純な3つの断片だけで構成された速いリピートの形を演奏するすべてのトランペット奏者は、1つのバルブを変更するだけで良いです。

これにより、技術的にははるかに簡単な “ヴィルトゥオーゾ的な”フレーズが作られます。

同じ3つの断片フレーズを持つ木管楽器は、トリルの運指を使用するよう求められます。

結果は「スピード!」ですね。 「ゴッド『スピード!』」。

これらの種類の教育的なものはStormworksのすべてのスコアに組み込まれています。

この作品の興味深い構造要素と、この作品やすべてのStormworks Musicの暗号化されたメッセージの一部は、33拍子の変化があるということです。

33という数字の使用は偶然ではありません。

事実、Stormworksのすべての作品の33小節と34小節の間、または実際の時間の3分33秒の時点で重大なことが起こります。

「STORMAficionados」と私が呼んでいる人たちによって発見され評価されるべきことがたくさんあります。

要するに、イエスの生涯は33年間でした。

私が作曲したすべての音楽は祈りの形なので、私は神を敬うためにこれを行います。

日本の人々がこの作品を愛していることも大変うれしいです。 彼らの愛のために、私は「時代」「ふるさと」「武蔵」も作りました。

3. 「チョーセン」「時代」など日本を題材にした吹奏楽作品も日本では有名ですが、日本のどんなところに魅力を感じますか。

ああ、これはとても素敵なセグエです!私は12歳からマーシャル・アーツを学んでいました。これらの多くは日本のスタイルです。

だから、寿司や日本料理、特にラーメンを愛することに加えて、私は日本の歴史を大いに愛しています。

私は日本の哲学をリスペクトしていて、神道の神主である友人もいます。これが私が「武蔵」を書いた理由です。

また、私の好きな映画監督は黒澤明です。

私たちは東京で、私の人生の最高の体験の一つである「Chapter V∞」のCDを航空自衛隊音楽隊と収録していた時に、黒澤氏の有名なレストランに行き、江口大佐と夕食をしました。

鈴木一緒さん、鈴木清佳さん、足助一郎さん、榊本真希さんなど多くの日本の私の友人たちは、私の日本の歴史と文化に対する私の大きな愛を知ってくれて、四十七士の墓地に連れて行ってくれました。私は涙を流しました。そこに私は香を灯し、それぞれの場所で祈りました。

航空自衛隊音楽隊のミュージシャンたちは、世界でも最高の存在です。

私はそのような感謝と愛を持っています。

「ふるさと」のアレンジを録音したときのホルン奏者を覚えています。ソロを演奏すると、彼は涙を流して顔を撫でました。

私はその特別な時に私たちが共有したすべてのものに対して、彼らの大きな贈りと約束を決して忘れることはありません。

4. 吹奏楽に限らず数多くの作品を作曲されていますが、作曲家人生のターニングポイントとなった作品はどれですか?

この質問が具体的にどのような意味かはわかりませんが、私は自分の404番目の作品まで自分自身を「作曲家」と呼んでいませんでした。

自分自身を「作曲家」と呼ぶことができるという自己決定基準は、私の最初の交響曲「S-マトリックス」を作曲することでした。

キーボードやその他の楽器で音楽をチェックすることなく作曲を行いました。目標は、ペンのみを使って心、精神、魂から紙に直接書き込むことでした。

初めて私がこの作品を聴覚的に聞いたのは、ガーハート・ジマーマン指揮、ノースカロライナ交響楽団が初見演奏をしたときでした。

その目標を達成して、私はついに自分自身を作曲家と呼んだのです。

5. 2016年に初演された交響曲第4番「Lightfall」の吹奏楽版の委嘱元を探しておられましたが、その後いかがでしょうか。是非吹奏楽版も聴きたいのですが。

ああ! 私たちには、交響曲第4番「Lightfall」の委嘱元がいます。

作品は、この非常に素晴らしいアンサンブルによって委嘱れるだけでなく、2018年初頭に録音もされます。

作品はドイツ陸軍軍楽隊と指揮者のクリストフ・シャイブリング中佐によって委嘱されています。

私はこれらの素晴らしいミュージシャンとの80分間の新しい音楽の録音をとても楽しみにしています。

6. 2016年に作曲された「The Unwilling」の吹奏楽版を作る予定はありますか?

うーん! 興味深いアイデアですね。

「ゴッドスピード!」のように、私はスコアの一部分に調和したフーガを使用しています・・・しかし、この特定のスコアでは、複雑な変拍子のいくつかの層にも重なっています。

誰かがそのような仕事を委嘱するとすれば、私は音楽を再構築するでしょう!

7. 日本の若い作曲家にアドバイスをお願いします。

いつでも気軽に私に連絡してください。 もし私があなたを助けることができるなら、私はそうします。

STORMWORKSの第21章:WON WAYのすべては、ロベルト・クレメンテの人生と英雄的な死に触発されました。

彼はこう言いました。「あなたが誰かを助ける機会があれば、そうしないと、あなたはこの地球上であなたの時間を無駄にしているのです。」

8. 日本のファンにメッセージをお願いします。

どうも、どうもありがとうございます!

私は日本の友人たち全員にとても感謝しています。

そして、あなたの「しみじみと」と「頑張ります」を願っています!

私があなたを助けることができるなら、私に知らせてください。


インタビュー、訳:梅本周平(Wind Band Press)

 


1. Why did you thought want to become a composer?

Originally, I did not set out to be a Composer. My degrees from Boston Conservatory and Columbia University are in Music Education. Before that, I was a Physics major at the University of Connecticut. I set out in my life to be “the best Teacher that I could be.” As a self-imposed criteria for being this “best Teacher I could be,” I learned to play each of the instruments, first by buying them at a Boston pawn shop, and then by studying each of them privately with Boston Symphony players. Beyond playing the instruments well, I then came to the conclusion that the best way to become a Conductor and Score-interpreter was to write a score myself. This way I would learn to see any given score from the “inside-out,” the way a Composer sees it. With a good playing knowledge of the instruments, and always asking Boston Symphony Musicians about the kinds of things they would enjoy playing, I gave myself three years to compose what I called a “symphony.”

Three years later, I had written “Only for Now,” a 9-movement, 70-minute work for extended wind ensemble with jazz ensemble built in, harp, guitar and synth. And, this was at the very advent of synths in 1979. After composing that 1st piece, I thought I would put the idea of composing to rest and move on as a Teacher, which indeed I did. But when I got into the public schools, the budgets were so low, and the needs of the student Musicians were so specific, I needed to write for them. The piece, “Stormworks,” for instance, was written for my high school band. “Only for Now” was 1148 pieces ago. I just kept writing. The Buddha says that “you become what you think of.” Indeed, I had become a Composer because that is how I lived and dreamed and thought.

2. “Godspeed!” is particularly popular in Japan. Please tell me the background (or reason) of composing this work and important points in playing.

Firstly, “Godspeed!” is an expression. It means “Have a Safe Journey,” or “May God speed you!” When the astronauts left for the moon in 1969, the wish of “Godspeed!” was offered. I heard this when I was 11 years old. The first ship that came from England to the Americas was named the “Godspeed!” It is often used in the Navy. In addition, I have signed all of my many letters this way since high school. I graduated in 1975, so you can see that I have done this for many years. The US NAVY had asked me to write a piece, which ironically, they never played. It was the piece, “Godspeed!” When Maurice Hamers, conductor from the Marine Band of the Royal Netherlands Navy heard that they never played the piece, he decided to record the work and open the STORMWORKS Chapter 3 CD: WAIT of the WORLD with it!

Technically, there are several strategic orchestrations within the work that make it accessible to many bands, especially if you know the inner workings. For instance, all of the trumpet players playing the fast, repetitive figure, which is only composed of only 3 simple fragments, require only one valve to change. This makes the otherwise “virtuosic” phrase technically much simpler. The woodwinds, having that same 3 fragment phrase, are asked to use trill fingerings. The result is “speed!” You see? “God-SPEED!” These sorts of educational things are built into all of the Stormworks Scores. An interesting structural element of the piece, and part of the coded message in this and all Stormworks Music is that there are 33 meter changes. The use of the number 33 is not accidental. In fact, something significant happens between measures 33 and 34, or at the real-time marker of 3:33 in all of the Stormworks. There is much to be discovered and appreciated by those I call the “STORMAficionados.” In short, the life of Jesus was 33 years. Since all of the Music I compose is a form of Prayer, I do this to honor God.

I am also very happy that the Japanese people love this work. Because of their love, I also composed Jidai, Furusato and Musashi.

3. Wind band works with Japanese themes such as “Chosen” and “JIDAI” are also famous in Japan. What kind of culture in Japan do you feel attractive?

Oh, this is a very nice segue! I have studied martial art since I was 12. Many of these are Japanese styles. So, in addition to LOVING Sushi and Japanese cuisine, especially Ramen!, I have a great fondness for the History of Japan. I respect the philosophies of Japan and have a friend who is a Shinto monk. This is why I wrote Musashi. Also, my all-time favorite film director is Akira Kurosawa. When we were in Tokyo to record the Chapter 5:8 CDs with the Japan Air Self Dense Force Band, one of the greatest experiences of my Life, we went to the famous Kurosawa restaurant to have dinner with Colonel Eguchi, whom I just mentioned to you in my last email. My good friends from Japan, including Kazuo and Sayaka Suzuki, Ichiro Asuke, Maki Sakakimoto, and many others knew of my great love for Japanese History and Culture and took me to visit the grave site of the 47 Ronin. I was brought to tears. There I lit incense and prayed at each of the sites. The Musicians from the Japan Air Self Dense Force Band, are some of the best in the world. I have such appreciation and love for them. When we recorded my arrangement of “Furusato,” I remember the horn player. Playing the solo, he had tears running down his face. I will never forget their great Giving and committment to all that we shared during that special Time.

4. You composed as many works as not only for wind band, which work was a turning point in your life as a composer?

I am not sure how you specifically mean this question, but I did not call myself a “Composer” until my 404th piece. The self-imposed criteria for being able to call myself a “Composer,” was to compose “The S-Matrix Symphony,” my first Symphony. I did this without ever checking the Music at a keyboard or any other instrument. The goal was to write directly from Heart, Mind and Soul to paper using only a pen. The first time I had heard this work aurally was when the North Carolina Symphony Orchestra, conducted by Gerhardt Zimmermann sight read it. With that goal achieved, I finally called myself a Composer.

5. You were looking for a commissionor for the wind band version of Symphony No. 3 “Lightfall”, how about then? I would like to listen to the wind band version as well.

Ah! We have a Commissioner for Symphony IIII (4): Lightfall! The work is not only commissioned by this very fine ensemble, but will also be recorded by them in early 2018. The work has been commissioned by: Das Musikkorps der Bundeswehr, (Concert Band of the German Armed Forces) Oberstleutnant Christoph Scheibling, Conductor. I am very much looking forward to the recording of 80-minutes of new Music with these fine Musicians.

6. Do you have plans to make a wind band version of “The Unwilling”?

Hmm! Interesting idea. Like in the piece Godspeed, I am using harmonized fugues in portions of the score… but in this particular score, they are also overlapped in several layers of complex multi-meters. I suppose that if someone were to commission such an undertaking, I would indeed reconstruct the Music to work!

7. Please advise young composers and conductors in Japan.

Always feel free to contact me. If I can help you I will. All of STORMWORKS Chapter 21: WON WAY is inspired by the Life and Heroic Death of Roberto Clemente who said, “If you have a chance to help someone, and you don’t, you are wasting your time on this earth.”

8. Please give your message to your Japanese fans.

Domo Domo Arigato Gozzaimassu! I am so very grateful to all of my Japanese friends and wish you Shimijimito and Ganbarrimassu! If I can ever help you, just let me know.

 


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