アジア各地で育まれた絆が日本でひとつになった瞬間「Ensemble Asia Joint Festival」レポート - 吹奏楽・管楽器・打楽器・クラシック音楽のWebメディア Wind Band Press

2025年4月に東京でアジア各国の日本人吹奏楽団・オーケストラの帰国者による合同演奏会「Ensemble Asia Joint Festival」が開催されました。9楽団約240人による大演奏会となったこのイベントの様子を、Wind Band Pressの「世界の吹奏楽事情」コラムでもお世話になった、上海ブラスバンド日本支部の籾山友紀さんにレポートしていただきました。

アジア各国には、転勤や留学などで在住する日本人によるアマチュア吹奏楽団・管弦楽団があります。そうした楽団で活動し、その後帰国したメンバーが集まり、合同演奏会「Ensemble Asia Joint Festival」を4月に東京で開催しました。参加したのはアジアの9つの日本人楽団です。

最も歴史のある楽団は、約30年前に創設された香港の日本人主体の管弦楽団「アンサンブル・ディマンシュ香港」です。その後、20年ほど前に上海で日本人による吹奏楽団「上海ブラスバンド」が結成されました。さらに、上海ブラスバンドの団員が転勤先で新たな楽団を立ち上げたり、その活動を耳にした近隣国でも日本人楽団の創設が相次ぎ、現在ではアジア各地に日本人によるアマチュア楽団が存在しています。

欧米では現地のアマチュア楽団に参加できることもありますが、アジアではそもそも楽団がなかったり、音楽活動が盛んでない国も少なくありません。そのような環境の中で日本人による楽団ができたことで、海外赴任や留学先でも音楽を楽しめる場が広がりました。

もっとも、海外での楽団運営には課題も多くあります。練習場所の確保、楽器や楽譜の調達、赴任や帰国によるメンバーの入れ替わり、そして国独自の制約など、日本とは異なる困難に直面します。それでも異国の地で知り合った仲間とともに音楽を奏で、現地の人々に演奏を届け、喜んでもらえることは大きな喜びです。

上海ブラスバンドは「日本支部」を設け、帰国者による演奏会を毎年日本で行っていますが、他の楽団は日本で音楽活動を行う機会がありませんでした。そこで今回、各楽団の帰国者に声をかけ、東京で合同演奏会が実現しました。久しぶりに再会した仲間と共に練習を重ね、舞台で音を響かせることができたのです。

各楽団の単独ステージでは民族衣装をまとったり、その国ゆかりの曲を演奏したりと、個性豊かな舞台が繰り広げられました。そしてフィナーレの合同演奏には約240人が出演。吹奏楽団に管弦楽団のメンバーも加わり、吹奏楽ともオーケストラとも異なる新たな響きが生まれました。参加者全員がかつて海外で音楽を楽しんでいたことを思うと感慨深く、アジア各地で育まれた絆が、この日、日本でひとつになった瞬間でした。

この演奏会をきっかけに各楽団の交流が深まり、今後さらなる広がりが期待されます。またいつの日か、第2回合同演奏会を開催できればと願っています。

なお、各楽団では現地で新入団員を随時募集しています。リンク先をご覧のうえ、これから海外に赴任・留学される方は、ぜひ楽器とともに渡航し、海外でも豊かな音楽生活をお楽しみください！

「Ensemble Asia Joint Festival」
日時:2025年4月26日(土)
場所:かつしかシンフォニーヒルズモーツァルトホール

◆プログラム◆

【ホーチミンシティブラスバンド】
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名探偵コナン