「長く続けられる趣味が生活の中にあると良いですよね」 インタビュー:広島ママブラスPeace 代表 清水寿代さん

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Wind Band Press読者の皆様の中には、「母親になってから楽器を辞めてしまった、でもまたやりたいなあ・・・」と漠然と考えておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、「ママさんブラス」の活動や内情などを少し知りたいなあと思い、広島のママさんブラス「広島ママブラスPeace」様にご相談したところ、代表の清水様よりお返事を頂き、お会いすることが出来ました。

広島ママブラスPeaceは広島市とその近郊のママさんたちで活動する吹奏楽団です。

子育ての最中だけど音楽を楽しみたい・・・そんな育児のために音楽を諦めていたママさんたちの思いから、2007年3月に結成されました。

結成当初は10人程度だったメンバーも、現在では50人を超えるほどの吹奏楽団に成長し、年1回の定期演奏会の他、幼稚園などの施設への訪問演奏なども行っています。

広島カープ優勝に沸く広島の繁華街、神社の前でサクソフォーン・パートのアンサンブルが商店街の依頼演奏をしているのを聴きながら、清水さんにお話を伺いました。


―まず初めに、広島ママブラスPeace様の日頃の活動ペースについてお伺いできますでしょうか。

毎週1回を基本として練習をしています。隔週の水曜日と隔週の週末です。午前中の9時半から12時半までです。

8月の最後の日曜日にメンバー全員が出られる定期演奏会を行います。なぜ8月かというと、運動会や参観日に被らないようにするとその時期が丁度良いからですね。あと、冬は子どもが風邪をひいたりするので。

9月から翌年の3月くらいまでは訪問演奏をしていて、それが終わってから演奏会に向けて集中的に練習を行います。

―いまちょうど目の前で商店街の依頼演奏を行っておられますが、こういった依頼演奏も多いのでしょうか?

商店街の依頼は非常に珍しいケースで、普段の訪問演奏は幼稚園や小学校ですね。

―団員にはそれぞれの事情を抱えた色々な方がいらっしゃると思います。専業主婦として家事育児をしながら、また共働きなどで仕事もしながら、吹奏楽をやるのはなかなか大変ではないかとお察ししますが、皆様どのように育児・家事・仕事と楽器演奏の活動を両立されているのでしょうか。コツなどがあれば教えて下さい。

基本的にはママが練習に来られるように練習時間を午前中に設定しています。

当初は育休中や専業主婦の方が多かったので平日練習がメインだったのですが、だんだん働く人も増えてきて、週末練習を増やしました。

すると今度は子どもがだんだん大きくなってきて週末に習い事などの試合などの予定が入ってしまうんです。

なので皆の予定を合わせるのはとても難しいです。

ですので、子どもを連れてこれる環境づくりには工夫をしていて、子どもと一緒に出来る、子どもたちも子どもたち同士で仲良く遊べるように、力を入れています。

例えば合奏の前には手遊びをして、「これからお母さんたちの合奏が始まるからみんな良い子にしててね」というけじめをつけるようにしています。

週末はお休みのお父様が多いので、「いつも子どもを連れて練習は大変でしょ」と言って積極的に子どもを預かってくれるお父様もいらっしゃいます。

最初はお母さんの活動に理解がなくても、一回コンサートを聴いたら、「あ、こんなに真剣にやってたんだ」と、次回から協力していただけるお父様もいらっしゃいますね。

お母さんが一緒にいると子どもってどうしてもお母さんの方に来るじゃないですか。でもそういうお父さんと子どもの時間が取れるというのも、私は凄く良いなあと思います。

―この記事をお読みの方の中には、ママさんブラスに興味があったり、もう一度吹奏楽をやりたい、と思われている方も多いかと思います。広島ママブラスPeace様の場合、入団の条件や、入団後のフォローなどはございますでしょうか。

入団後のフォローはないです(笑)。

その人の家庭環境に合わせて練習時間を変えてあげたいなとは思うのですが、本当に環境がバラバラなのでそれは出来なくて。

条件としては、楽器経験者で、自分の楽器を持っていることです。やはり練習時間が短いので、そうでないとなかなか厳しいなあというのはあります。

他には入団条件は特にありません。

―練習中はお子様のご様子は各自で見られるとのことですが、その辺り、自分に出来るのかという不安がある方もおられるかと思います。お子様の年齢も様々だと思うのですが、練習中は皆様どのような様子で面倒をみておられますか?

0歳児はおんぶしながらですね。あと子どもはどんなにうるさくても寝ます(笑)。大きい音でも、生の音なら、びっくりして泣いたりする子はほとんどいないですね。

練習に連れてくればくるほど、子ども同士で遊びだすので、だんだん手がかからなくなってくるんですね。最近はメンバーの子どもたちも大きくなってきていて、大きい子どもが小さい子どもの面倒を見る、ということもあります。

またメンバー同士、他所の子どもでも抱っこしてあげるとか、ということもありますね。

あとは、ぜひ子どもを連れてきてほしいです。小さい頃からあんまりこういう演奏を聴く機会が日本は少ないので、小さい頃からこういう演奏を聴くのはとても良いなあと思います。その子が将来音楽をするにしろしないにしろ、楽しみが増えるじゃないですか。

―今ちょうど目の前の依頼演奏ではポップスを演奏していますが、普段の選曲の傾向はどのような感じでしょうか。

今の楽団のレベルより一つ難しいことに挑戦したいというのがありますね。

私自身は選曲には関わっていなくて、指揮者と各パートのリーダー、金管・木管・打楽器のリーダーなどが集まってそれぞれのパートのレベルをふまえて選曲をしています。

小さい子にクラシックを聴かせたい、というのがあるので、クラシックの曲を必ずコンサートプログラムに入れるようにしています。

騒いでも良いようなコンサートにはしているのですが、でも本当は、小さい頃からクラシックの演奏会は静かに聴けるようにマナーを教えたいですね。

日本ではなかなかそういうことはないですが、ヨーロッパなどでは小さい頃からコンサートでのマナーがしっかりしているので、そういうのを教えたいなあと思って、「マナー劇場」などを取り入れています。

―皆さん個人練習はどうされているのでしょうか?

コンサート前は、熱心な人は仕事場に楽器を持っていって、10分でも休憩時間に吹いたり。毎日吹けばスタミナもつきますし毎日吹くのも大切なので、そういうことをされている方もいらっしゃいます。

あとは9時半から練習開始で10時半くらいから合奏をするので、その1時間に集中して個人練習をする方もいらっしゃいます。

他には通勤の移動中の車の中でずっとCDの音源を聴いたり、今はYou Tubeもあるので、You Tubeと合わせて自宅で練習する人もいたり、カラオケボックスで練習する人もいたり。

それはもうメンバーそれぞれですね。

―ママさんブラスの活動を通して得られる体験、他の一般的な吹奏楽団では得られない体験などがあれば教えて下さい。

Peaceの凄いところは、ママだけで今50人強いて、ほぼ皆が、コンサート前はきちんと練習に来てくれるんですよ。

なので、場合によって賛助の方をお呼びすることもありますが、ほぼ全員で、自分たちだけで演奏会を出来るという点です。

毎回会って一緒にやっているメンバーだと音に一体感もあります。

また一般バンドと違うところは、メンバー皆が環境が似ているじゃないですか。子育て中という点で。

子どもが大きくなったお母さんもまだ子どもが小さかった頃の気持ちが分かるので、小さい子どもがいると嬉しいし、あやしてあげたりというのもありますので、仲が良いというのもありますね。

音楽を続けているというのは、凄く長い目で見たらボケ防止にもなるじゃないですか(笑)。

今のこの時点で言えば、普段自分のために時間を使うことが凄く少ないお母さんたちが多くて、趣味を持てるのって限られた人たちだけだと思うのですが、Peaceは経験者ばかりなので、そこまでハードルが高い趣味でもなくて、楽器のメンテナンスはありますが個人の所有楽器なのでお金の面でもハードルがそんなに高くなくて、ずっと続けられること・・・もうPeaceを立ち上げてから10年なんですよ。そこまで続けられる趣味ってなかなかないんじゃないかと思います。そういうのが生活の中にあると良いですよね(笑)。

あとは子育ての相談とかも出来ますし。

他には、訪問演奏で小学校や幼稚園に行くと、演奏に合わせて大声で歌ってくれたりするんですよ。そんな時、涙が出るほど感動します。

また、演奏会のアンケートで「自分も何か始めたくなった」という感想を頂くと、本当に嬉しいですね。

―地域によっても異なるとは思うのですが、ママさんブラスの情報を得るのに、ホームページ以外にどこを探せば手に入りやすいのでしょうか。

Peaceの場合は、最初はMixiから始まったんですよ。今はMixiの利用者がグッと減ってFacebookに移っているので、Facebook経由でご連絡頂く方が多いですね。私たちにとっても、どうやって人を集めたらいいか、というのは課題です。

―最後に、広島の「また吹奏楽をやりたいけどなかなか・・・」と迷っているお母様方にメッセージをお願いします。

募集楽器は、HPで確認いただけます。見学は何回でもいつでも自由です。見学に来られると、だいたいの方が入団されますね(笑)。

楽しいですし、やっぱり経験者の方は音を聴くだけでもワクワクしますし自分もやってみたい、ってなります。

子どものハードルはすぐに越えられますので、ぜひ見学に来て下さい。

広島って、転勤で来られるお母様が結構多いんですね。働いていなくて転勤で広島に来た場合、家でお父さんが帰ってくるまでずっと一人じゃないですか。子どもも小さかったら会話もままならないし。そういうお母さんが「Peaceに来て凄く良かった」という声もあります。

Peaceを始めてから10年になりますが、今は施設なども色々なサービスが増えましたし、ベビーカーで来れる環境も整っています。

10年前は本当に子連れで街に出るというのが難しかったと思うんです。なので、そういうお母さんにこそ来て欲しいと思います。


インタビュー・文:梅本周平(Wind Band Press)


まとめ:

いかがでしたでしょうか。

ママさんブラスの一例として、「こんな感じなんだなあ」というのが伝われば幸いです。

広島ママブラスPeace様は、今年の8月に第11回のコンサートを終えました(会場:はつかいち文化ホール さくらぴあ 大ホール)。プログラムには子供向けプログラムのほか、「マーチ・エイプリル・メイ」や「アルメニアン・ダンス パートII」などもありましたよ。賛助はたったの4名(うち2人は元メンバー)でした。

結成当時0歳だった清水さんのお子様も現在は11歳になったそうで、コンサートでは親子合唱を行ったほか、将来子供と一緒に演奏できる日を楽しみにしているそうです。

ふだんの練習では練習場所に隣接する部屋を借りて子供の遊び場や勉強部屋としても利用しているそうですよ。

広島在住の方で「私も見学したい」と思われた方は、ぜひお問い合わせしてみてくださいね。


広島ママブラスPeace
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ほかにも広島のフリーマガジン「ママンペール」「らしっく」でも取り上げられています。

今回のインタビューは、家事・育児・仕事で忙しい中でも「やっぱり吹奏楽がやりたい!」と思われている全国のママさんに、もう一度吹奏楽を始めてもらうきっかけになればいいなあと思い、企画しました。

広島以外の全国のママさんも、ぜひ各地域のママさんブラスの練習などを見学してみてくださいね。

ちなみに僕の妻もインタビュー時に一緒にいて、入団しようかなというところだったのですが、パートが定員に達していたので見送ることにしたようです。惜しい!(良い楽器を持っているのでぜひまた再開して欲しいものです)

そういうこともあるかもしれませんが、一人でも多くの方が、再び楽器を手に取って音楽を楽しんでいただくきっかけになれば、嬉しく思います。

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